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欧州マネーの知られざる“日本買い”

10月、対日証券投資はネットで3.0兆円の資本流入

2010年12月16日(木)

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 欧州からの対日投資が騰勢を強めている。財務省が発表している地域別国際収支統計によれば、10月の欧州からの対日証券投資はネットで3.0兆円の資本流入となった。9月(4.1兆円)の大幅流入からは減少したものの、基調としては2009年以降ほぼ一貫して拡大傾向が続いている。

 資本流入の内訳を証券種類別に示したものが図表1である。これは、欧州の居住者が取得した日本の証券と、処分した日本の証券のネット金額をとったものだ。特徴としては2010年後半以降、短期債への投資意欲が高まる形で資本流入が加速している点が挙げられる。短期債というのは、期間1年以内の証券であり、そのほとんどは国債である。

高水準での推移が続く対日マネーフロー

 図表から明らかなとおり、資金流入の拡大は2008年以来のことである。この時期はリーマンショックが起きた前後で、キャリートレードの巻き戻しとも言われる円買いが強まったタイミングでもあった。今回も円高傾向が強まっているという意味では同様であり、海外投資家が為替のポジションとして得た円を、短期国債で運用している可能性が考えられる。

 なお、欧州からの対日証券投資をさらに細かく国別に見ると、圧倒的な存在感を持っているのは英国である。上記の対日短期国債投資拡大も、国別に見ればそのほとんどが英国からの投資拡大に拠っている。英国は欧州における最大の金融ハブであり、海外投資家からの注文を背景とした短期国債購入が強まっていることが分かる。

対日国債投資には脆さも

 しかし、もし足元の欧州からの資金流入が円高の結果としての資金流入だけだとすれば、その構造は非常に移ろいやすく、脆弱と言わざるを得ない。

 足元の円相場上昇の要因を簡単に振り返ってみると、「通貨戦争」という言葉に象徴されるように、各国の量的金融緩和策の拡大が自国通貨安の1つの要因となっていた。特に最近では米国の量的緩和策の拡大などがドル安の材料となった。BoE(英イングランド銀行)による量的緩和策の開始と拡大もしかりである。

 さらに、欧州ソブリン危機がそうした傾向に拍車をかけ、ユーロも買えない、ドルも買えないという動きが結果として円を買うという動きにつながったということだ。換言すれば円高ではなく、ドル安、ユーロ安であったわけである。

 ここで、買い手としては1つ問題がある。それは買った円をどうするかということだ。株式や債券を購入するということになるが、円がドル売りやユーロ売りの結果として「持たされたポジション」であるならば、なかなかその円を利用してリスク性の高い株式に投資するという選択肢にはなりづらい。

 従って、最終的には流動性の高い短期国債に資金が向かったと考えられ、逆に言えば円高の結果としての資金流入であるが故に、欧米が利上げに転じるなど将来的に為替相場を巡る環境が変われば、短期国債から欧州マネーが流出する可能性を容易に考えらる。

強まる欧州勢の対日株式取引

 上述の通り、円が「持たされたポジション」であるならば、その運用においてリスクの高い株式に資金が向かうということは考えづらいし、欧州からのマネーフローは為替相場に左右される。しかし、日本は欧州から「仕方なく」資産を持たれるだけの存在なのか?と問われれば、筆者はそれだけではないと考えている。

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「欧州マネーの知られざる“日本買い”」の著者

吉田 健一郎

吉田 健一郎(よしだ・けんいちろう)

みずほ総合研究所 欧米調査部/市場調査部

1972年東京都生まれ。96年一橋大学商学部卒業、2012年ロンドン大学修士(経済学)。富士銀行(現みずほ銀行)新宿西口支店入行。98年同国際資金為替部にて対顧客為替ディーラー。2004年よりみずほ総合研究所に出向し、08年よりロンドン事務所長。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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