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第3回 なぜ固定相場に通貨危機が起こりやすいのか

投機筋に“負け”はない

  • 宿輪 純一

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2011年1月11日(火)

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通貨危機を起こす可能性がある固定相場制

 グローバル化した市場経済の特徴としてその暴力性を挙げる向きが多い。例えば通貨危機がその例である。グローバルマネーが増大するに連れて、暴力性も強くなると言うことができる。このグローバルマネーは、市場の評価が変わると“一挙に”フローが逆転し、引き上げ、時として行き過ぎることになる。通貨危機が起こる場合には、いわゆる“投機筋”が機に乗じて通貨を売り浴びせることが多い。

 実は、通貨危機は「固定相場制(固定的な通貨制度)」に起こりがちな現象なのである。通貨制度の大きな分類には固定相場制と変動相場制がある。固定相場制とは、当該国の為替相場を米ドルなどの国際通貨(基軸通貨)に一定の価格(固定為替レート)で固定する制度である。基本的には通貨当局(政府と中央銀行)が、その一定価格を守るために、無制限に対応する制度である。具体的には、通貨の「売り」に対して無制限に応じて「買う」。

 この定義を聞いただけで、すでに困難であることが分かるだろう。通貨当局が「売り」に応じ切れなくなったとき、固定為替レートを引き下げるか、変動相場制に移行することになる。そもそも通貨は“生き物”であり、固定という発想に無理がある。

投機筋には“勝ち”と“引き分け”しかない

 実はこの固定相場制において、投機筋には「勝ち」か「引き分け」しかない格好の投機手法がある。具体的には、投機筋が、標的とした通貨を売り浴びせていく。そこで通貨当局がアジア通貨危機のときように屈服した――外貨準備を使い果たした――場合、固定為替レート水準を引き下げるなどの対応を取ることになる。投機筋は、売っていた当該通貨を、切り下がった水準で買い戻せる。その結果として莫大な収益を得ることができる。

 逆に、通貨当局が踏ん張り、固定為替レート水準を守り切ったとしよう。この場合でもその国の通貨を売っていた投機筋は“同じ為替レート”で買い戻すことができる。損は発生しない。すなわちこの場合も投機筋は負けないのである。

 このようなディーリングは、先を読みリスクを負って変動相場制の通貨を取り引きするのに比べて、格段にリスクが少ない。このような考え方を筆者は「固定相場制の投機標的論」と呼んでいる。

カネの“量”を確保したものの勝ち

 さらに言えば、為替のディーリング、特にこのような固定相場制との対決は単純な“量”の勝負となる。つまり、通貨の売りの量が多ければ為替レートは下落することになる。この場合、その通貨を管理する通貨当局が持つ外貨準備以上の量を売り浴びせれば、固定為替レートを維持することができなくなる。事前に外貨準備の金額を調べ、仲間と一緒にそれ以上の金額を集めればよいのである。このような動きが、アジア通貨危機において、一つひとつの国を伝播するように通貨危機が連鎖発生した理由の一つと言われている。

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