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「インフレーション・ターゲティング」はうまくいくか

金融政策についてその目的と手段を知る〈5〉

  • 村田 啓子

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2011年2月25日(金)

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 今回はテイラールールの話から始めましょう。

 これまでお話してきた通り、現在主要先進国・地域では非伝統的な金融政策運営が行われ、政策金利は1%以下と極めて低い水準にあります。では、政策金利はどのような水準に設定するのが本来望ましいのでしょうか。

テイラールールとは

 金融政策運営の方式として、テイラールールという考え方があります。これは、ジョン・テイラーという経済学者によるものです。テイラーは、1987年から92年に米連邦準備理事会(FRB)によって採用されてきた政策金利はテイラールールでうまく説明できると主張しました。 

 このルールの利点の一つはとてもシンプルなことで、政策金利は物価上昇率と景気の両方を考慮した水準に決まります。

It=a + 0.5 GAPt+0.5(πt-π*)+πt

a:均衡実質金利
It:政策金利
GAPt:GDPギャップ
π:インフレ率
π*:目標インフレ率

 この式は、政策金利は需給ギャップ(GDPギャップ)、および目標インフレ率と実際のインフレ率との差で決まるということを表しています。政策反応パラメータ(上の式でいうと0.5と0.5)はテイラーが用いた数値ですが、この数字が大きい場合、景気変動やインフレ率と目標インフレ率との乖離に対して積極的に政策金利を変化させることを意味します。

 テイラールールはグリーンスパン前FRB議長時代の米国の金融政策に一部の時期を除き良くあてはまると指摘されています。テイラールールを検証するには計量的な推定を行う必要がありますが、ここでは、テイラールールに関連して、政策金利とGDPギャップ、物価上昇率の2006年頃までの動きを下のグラフでみてみましょう。

画像のクリックで拡大表示

 まず、1990年代に入り物価上昇率が安定していることが分かります。また、GDPギャップが低下を始めてしばらくすると政策金利も低下する傾向がみられます。GDPギャップが上昇しプラスになると政策金利が上昇するという傾向もあります。

 ただし、2003年から04年くらいにかけては、GDPギャップの負の値が大幅に縮小しても政策金利はしばらく緩和的となっています。この頃はテイラールールからみて政策金利が低かったと指摘されています(後述)。

 なお、GDPギャップや政策金利に比べ物価上昇率は安定した動きをしており、例えば1994年頃には、物価上昇率が高まる前に政策金利が引き上げられています。これは、現時点でインフレ圧力の高まりを示す兆候がみられなくても、将来インフレ圧力が高まると考えられる場合に、より早い段階で引き締めが行われたという意味で「予防的引き締め」と言われています。実際にインフレになる前に引き締めを始めることでインフレを未然に防ぐ対応です。予防的引き締めは欧州中央銀行(ECB)でも行われることがあります。

 また、金融政策において、市場の期待に働きかけるフォワードルッキングな金融政策運営が行われるようになりました。時間軸効果もその一環ですし、インフレーション・ターゲッティングもその一つの手段です。

 この時に重要になるのがコミットメント(約束)です。その際、前回お話しした時間的整合性も必要であり、そのために重要となるのが中央銀行の独立性です。

 このシリーズの1回目で日銀法改正のお話をしましたが、米国でもFRBが独立性を向上させています。米国の場合は法改正はしていませんが、グリーンスパン前FRB議長とクリントン元大統領の関係は良好だったとルービン元財務長官が回顧録で著しています。1993年までは大統領と財務長官がFRBの政策について度々口を挟み、圧力をかけていたが、クリントン大統領は公の場でFRBの政策について発言をしないという原則を守ったとしています。

 英国はイングランド銀行(BOE)法を改正し、日本も日銀法を改正しました。FRBは法の改正はせずに、実態として政治的圧力から独立していったといえるでしょう。

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