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協調介入も日銀の資金供給も「的外れ」

クレディ・スイス証券・白川浩道氏インタビュー

2011年3月18日(金)

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 3月16日のニューヨーク市場で、円相場が一時1ドル=76円25まで急騰し、1995年以来の最高値を突破した。東日本巨大地震に端を発した日本経済の混乱は、世界経済にもじわりと影を落としつつある。

 世界同時株安に、急激な円高相場。今後の日本経済、そして世界経済をどう見ればいいのか。クレディ・スイス証券の白川浩道チーフ・エコノミストに聞いた。

(聞き手は蛯谷敏=日経ビジネス記者)

―― 16年ぶりに最高値を更新した円相場の動きをどう見るか。

白川 浩道(しらかわ・ひろみち)氏
クレディ・スイス証券チーフ・エコノミスト兼経済調査部長
1983年、慶応義塾大学経済学部卒、日本銀行入行。金融研究所、国際局、調査統計局エコノミストなどを歴任。米国ワシントン大学経営大学院(ファイナンス論博士課程)留学や経済協力開発機構(OECD)エコノミストも経験。国際局、金融市場局で為替市場介入や金融市場・金融機関モニタリング、金融調節を担当。1999年11月UBS証券チーフ・エコノミスト、2006年4月から現職。

 白川 国内企業が決算を前に、手元資金を確保するために外貨建て資産を円に買い戻す動き、いわゆるリパトリエーションが要因とは見ていない。マーケットでは、その類の噂が絶えないのは承知しているが、年度末まで2週間に迫ったこの時期では、大半の企業が必要な資金の手当てはできているはずだ。

 阪神淡路大震災が起きた1995年も、このような話はあった。だが、当時震災が発生したのは1月17日で、年度末まで約2カ月の期間があったから、説得力を持っていたが、今の局面では考えにくい。

 生命保険会社や損害保険会社が円を買い戻しているのではないか、という報道も出たが、実際に確認したところ、そのような動きは取っていない。

―― では、なぜ円高がこれほど進んでいるのか。

 ヘッジファンドの動きが影響している面も多少あるだろうが、私は、世界経済の構造要因で考える必要があると思う。というのも、ここ数日の間で、市場関係者の世界景気の見方は明らかに変わっている。

 日本の震災、そして原子力発電所を巡る一連の問題が、世界経済の足を大きく引っ張るとの見方が広がっている。

 例えば、国内の部品メーカー。今回の震災で、多くの工場が生産停止を余儀なくされているが、これが海外のセットメーカーの生産計画を狂わせるとの予想が出ている。国内企業が世界に輸出する携帯電話のバッテリーなどの供給が滞り、世界の経済活動に影響を与えるのではないかとの懸念が広がっている。

 そのシグナルは、世界各国の株式市場でここ数日株安が続いたことからも見て取れる。

世界的な回復ムードはもはや過去の話

 欧米の金融当局の利上げ観測の見方も一変した。欧州では今年4月にもECB(欧州中央銀行)が利上げをして金融引き締めに動くとの観測があったが、これも今は懐疑的だ。

 米国でも、昨年10月に始めたQE2(量的金融緩和第2弾)を、今年半ばにも終了すると見られていたが、今の雰囲気は明らかにやりにくくなった。

 実はマーケットではこれらを見越した動きが出始めている。翌日物金利の指標であるOIS(overnight index swap)市場では、この4、5日で10ベーシスほど下がっている。つまり、米国債の予想金利は既に下げ始めており、米国債が買われているのだ。

 一方で、日本の政策金利は0.1%に張り付いたまま。この結果、米国債の金利だけが下がり、日米金利差が縮小に向かっている。これが、ドル売りを誘引し、結果的に円が変われる要因となっている。

―― 政府や日銀が取るべき政策は何か(編集部注:3月18日、主要7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)は協調介入で合意し、各国中央銀行が円売り介入を実施した)。

 協調介入も、日銀の資金供給策も、私から見れば的外れな政策と言わざるを得ない。短期的な効果はあるだろうが、先に述べた構造的な問題は何ら解決しない。

 それよりも、日銀が取るべき政策は、0.1%に張り付いた金利をさらに下げることだ。具体的には、量的緩和を進めることで、金利を0.01%程度にまで下げることだ。

 今は、とにかく日米の金利差を広げることが円高を食い止める特効薬になる。そのための臨時政策決定会合を、すぐにでも開くべきだろう。

 私の試算では、政策金利が0.01%にまで下がれば、為替相場は1ドル84円~85円台まで戻ると見ている。逆に、そうした手を打たなければ、78円前後で定着してしまう恐れもある。

 日銀が今、いくら資金供給をして当座預金を増やすことに血道を上げても、結局は銀行の余剰資金が積み上がるだけだ。

 繰り返すが、世界経済は一週間前とは状況が明らかに変わった。日本の震災・原発は今や世界経済を揺さぶる大きな火種となっている。構造的な問題を解決するためには、一刻も早く政策金利を引き下げることが重要だ。

 日銀は世界経済の動きの中で政策を考えなければならない。さもなければ、この円高局面が当面続くことになりかねない。

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「協調介入も日銀の資金供給も「的外れ」」の著者

蛯谷敏

蛯谷敏(えびたに・さとし)

日経ビジネス記者

日経コミュニケーション編集を経て、2006年から日経ビジネス記者。2012年9月から2014年3月まで日経ビジネスDigital編集長。2014年4月よりロンドン支局長。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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