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大震災危機でなぜ円高になるのか

政府の迅速果敢な行動が不安の連鎖を押しとどめる

  • 竹中 正治

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2011年3月20日(日)

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 「東日本大震災で日本の危機なのに、なぜ円高になるんだ?」。多くの人がそう思っていることだろう。

 しかしこのパターンは今回が初めてではない。不動産と株式バブル崩壊で不況になった1990年代前半に何が起こったのか思い出そう。ドル円相場は1990年に1ドル=160円近辺まで円安に振れたが、その後は1995年の1ドル=80円前後のピークまで大きく戻ることもなく円高が進んだ。

 「通貨相場はその国の経済力や国力を反映する」などという通俗的なイメージで相場を語っている評論家は、こうした事情を説明することができない。

保険金支払いは「バケツ数杯」程度

 1995年1月の阪神・淡路大震災の時、ドル円相場は90円台後半から100円前後の水準だったが、3月から急速に円高が進んで1ドル=80円前後の円の高値をつけた。この時のことが今回、引き合いに出されている。

 阪神・淡路大震災の後に「日本の生損保が保険金支払いのために外貨資産を売って円買いをしたので円高に弾みがついた」と考える人は、私の知り合いのエコノミスト(米国人)にもいて、「今回もそうなるだろう?」とEメールを送ってきたのには閉口した。

 阪神・淡路大震災の時の地震保険の支払総額は783億円だそうだ。生命保険やその他の損害保険の総額は詳しく分かっていない。だが、犠牲者数は約6400人だったから、仮に死亡した方々が全員生命保険をかけていて1人当たり2000万円の生命保険が払われたとしても1280億円だ。その他の保険金の支払いすべてを含めても、数千億円の規模を超えることはなかろう。

 外為市場の円為替取引の巨大な規模を「プールの水」と例えれば、この数千億円という規模は「バケツ数杯の水」程度のものだ。仮にすべて海外の資産売却で捻出されたとしても、短期間にドル円相場を10円以上も円高に動かす力はない。しかも生損保は国内と海外の債券、株、不動産に分散したポートフォリオを持っているので、海外資産だけを保険金支払いのために取り崩すなんてことはあり得ない。

 実際のところは次のような報道が事実に最も近いだろう。

 「ゴールドマン・サックス証券の試算では、国内損保業界の支払予想額は6000億円強。大手3社の手元資金は1兆円近くあるため、わざわざ海外の資産を売って国内に資金を戻す必要性は低い」(日本経済新聞3月17日付)

投資家のリスク許容度の低下が円高を起こす

 では1990年から95年までの円高の要因は何だったのか。今回も同じ要因が働くのか――。それは日本が当時も現在も年間10兆円を超える経常収支黒字大国(2010年は17兆円の黒字)であることを踏まえて理解する必要がある。

 経常収支黒字分を外貨で受け取る企業や投資家がそれをすべて円にしようとすれば、その分だけ外貨売り・円買いが外為市場で生じる(外貨の供給)。円建てで輸出しても、海外の輸入サイドで外貨売り・円買いが生じるので、経常収支黒字分まるごと分の外貨売り・円買いが恒常的に生じている。

 一方、反対サイドには円を売って外貨投資する投資家の外貨需要がある。教科書風に言うと円相場は外貨の供給曲線と需要曲線の均衡点で決まるわけだが、なんらかの事情で投資家の外貨需要が弱まり、需要曲線が左にシフトすると均衡点は円高に移動してしまう。

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