• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

「開かれた議論」で米国の政策は変わるか

財政赤字は公開で、貿易赤字は密室で議論

  • 安井 明彦

バックナンバー

2011年3月24日(木)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 中東の動乱に象徴されるように、政策運営への有権者の参画のあり方をどう考えるかが、各国政府の大きな課題になっている。米国では、財政を巡る議論の公開性が高まる一方で、通商政策の議論は閉じられたままだ。

財政赤字の議論を丸裸にしたベイナー下院議長

「議会は公開の場で存分に議論をつくしている。賞賛に値する」

「(地元や支持者の意見に左右されないように)議会での採決の機会を少なくするべきだ」

 3月初めにワシントンで筆者が聴講したある会合。登壇した識者から、正反対の方向性の発言が飛び出した。前者は財政再建、後者は通商政策に関する話題。財政赤字と貿易赤字という「双子の赤字」について、議論の公開性に対する姿勢は真っ2つに分かれた。

 議論の公開性を高める方向に一歩踏み込んだのは、財政再建の分野である。現在進行中の予算審議で下院共和党のジョン・ベイナー議長は、民主党を含めた下院議員による修正条項の提案を幅広く認めている。下院では実に600近い修正条項が用意され、4日間を超える論戦が繰り広げられた。

 ベイナー議長の方針は、最近の下院議長の議論の進め方からは180度の大転換である。先代のナンシー・ペロシ氏(民主党)や、1990年代に共和党の躍進を支えたニュート・ギングリッチ氏は、多数党の権限を最大限に行使し、修正条項の提案を極端に制限することで、思うがままに立法作業を進めてきた。

 ところが、今回の議論に先駆けて下院では「修正条項の提案の仕方」を改めて議員に徹底させる手引き書を用意。あまりに久しぶりの本格的な議場での修正作業に、ベテラン議員からも戸惑いの声が聞かれたという。

 財政の分野には、議論を開いていかなければならない理由がある。財政再建が大きな論点になっているにもかかわらず、米国が直面する課題の本質について、世論の理解が進んでいないのだ。

 財政を専門とする人たちにとって、「財政再建には年金や医療制度の改革が不可欠」というのは常識である。議会予算局(CBO)の長期予測によれば、2025年ごろの米国では、年金・医療関連の歳出と利払い費だけで、すべての歳入が使い果たされてしまう。現在でも年金と医療を合わせると歳出の4割強を占めており、ここに手をつけなければ財政再建は覚束ない。

政治家と有権者の間にある深いギャップ

 ところが、世論調査を見る限り「専門家の常識は世間の非常識」のようだ。2月にウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙が実施した世論調査によれば、財政再建のために「メディケア(高齢者向け公的医療保険)の改革が必要」と答えた割合は18%、「公的年金の改革が必要」との回答は22%に止まった。一方で、タランス・グループが2月に実施した世論調査では、60%が「(年金・医療改革を行わないでも)無駄をなくせば財政再建は可能」だと答えている。

 「無駄をなくせば大丈夫」という世論の認識は、年金・医療改革、さらには増税の議論を避けようとする政治家の言動に誘導されている気配がある。しかし、年金や医療保険を聖域にしてしまえば、財政再建の対象にできる施策は極端に限定される。

コメント0

「Money Globe- from NY(安井 明彦)」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

コメント入力

コメント(0件)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

リストラなどつらい経験もありましたが、多くの山に登ったことで、別の景色が見えやすくなりました。

吉田 秀俊 VAIO社長