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中小企業を襲う「デリバティブ倒産」の悪夢

広がる大震災・超円高の衝撃

  • 神農 将史(日経ビジネス記者)

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2011年3月26日(土)

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 東日本大震災後、1ドル=76円25銭の最高値まで進んだ超円高が波紋を広げている。震災と計画停電の打撃に加え、中小企業を直撃したのが、「為替デリバティブ(金融派生商品)」の損失だ。

「こんなに損失が膨らむとは思ってもいなかった」

 横浜市にある自動車関連の中小企業の社長は乾いた声でこう語った。地震による直接の被害は免れたが、取引先には死傷者も出ており、業績への悪影響は避けられない。そんな矢先、追い討ちをかけたのが過去に契約した為替デリバティブの損失拡大だった。

 この会社の年間売上高は約16億円、純利益は約1億5000万円だが、為替デリバティブによる損失が5000万円規模の減益要因になっている。こうした問題に詳しい本杉明義弁護士は、「現に、震災後には相談件数が増えている。かつてない円高に直面して、中小企業が慌てているからだろう」と語る。

 ここでいう為替デリバティブとは、長期間にわたり、同じ金額で外貨を購入することをあらかじめ約束する金融商品。元々は日々上下する為替相場によって業績変動が起きないようにするためのリスク回避商品だった。しかし、メガバンクは円安が続けば利益を見込める運用商品として、外貨を必要としない中小企業にも販売先を広げていった。

 同社は、合計で3つの契約を抱えている。1つ目は、2005年9月にメガバンクの1行と結んだ。毎月10万ドルを7年間にわたって買うというものだ。購入レートは1ドル=103円15銭。2005年は105~120円程度で推移していたため、手数料を差し引いても、ある程度の利益が出ていた。そこで、2008年1月には、毎月5万ドルを同じ購入レートで買う契約を新たに結んだ。2008年1月の円相場は106~108円で、銀行の勧めに応じて買い増した。

 事態が急転したのは同年9月のリーマンショック。その後、円高が急激に進み、1ドル=90円台の水準が常態化し、毎月のように損失が出るようになった。

 そこで、銀行から提示されたのは、より円高の水準での為替デリバティブ契約だった。この契約によって利益が得られれば、既存の契約の損失を穴埋めできるという含意がそこには込められていた。契約は半年に一度、1ドル=87円95銭で10万ドルを購入するというものだ。これが3つ目の契約にあたる。

 しかし、この契約は一般に「ギャップオプション」と呼ばれる特殊なものだった。為替相場が1ドル=87円95銭より円高になると、1ドル=97円95銭で20万ドルを購入しなければいけないという“条項”が加えられていた。期間内に87円95銭の境界線より円高になるか円安になるかを予測するという、投機性の高い金融商品である。

 「こんなことになるならば、リーマンショック後に損切りするべきだった。今の解約金は当時の比較にならないほど高くなってしまった」と社長は困り果てている。

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