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懸念は財政、金融政策で名目賃金の上昇を

米プリンストン大学 清滝信宏教授に聞く

2011年4月11日(月)

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 地震、津波、原発事故…。東日本大震災が日本経済に及ぼした甚大な影響を、私たち日本人はどのように克服していけばいいのだろうか。世界の学術分野で活躍する学者や専門家たちに、日本復活に向けての提言を聞くのが、この新コラム「復興の経済学」。

 第1回は、米プリンストン大学経済学部の清滝信宏教授。3月21日、ロンドンで話を聞いた。

 この震災が金融市場を通じた世界経済に与える影響は限定的だと言うが、日本政府の対応次第で、中長期的に深刻な影響を与える懸念もあると指摘する。(聞き手はロンドン支局、大竹 剛)

清滝信宏氏
2006年から米プリンストン大学経済学部教授で、2010年から1年間、英ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスの客員教授も兼務。1997年に発表した、企業の純資産の減少が金融・資産市場を通じて経済全体に影響を及ぼしていく過程を解き明かした「クレジットサイクル理論」が特に有名。米ニューヨーク連邦準備銀行の学術顧問も務めている。

 まず、このたびの東日本大震災で被害に遭われた方々に、心からお見舞い申し上げます。

 今回の巨大地震による日本経済への影響は、物的な資本だけでなく、大勢の方が亡くなったり傷ついたり、人的被害の影響が大きい。また、地域社会を含む広い意味での社会資本、東京大学の宇沢弘文名誉教授がいう「社会共通資本」が失われた影響も大きく、短期的には生産と消費は減少することになるでしょう。しかし、中長期的に見れば、資本への投資が進み、生き残った我々が懸命に働いて経験を積み重ね社会共通資本を回復することで、経済の復興は十分可能だと信じています。

 私の専門分野である金融面から、世界経済に与える影響を考えてみました。巨大地震によって日本が受けたダメージが、金融・資産市場を通じて世界的にどのような波及効果を生み出すかという点です。

レバレッジ小さく世界経済への影響は比較的軽微

 製造業など一部の産業では、日本からの中間財の供給や日本の需要に依存しているために影響は大きいでしょう。震災や津波による工場の破損や、福島第1原子力発電所の事故が引き起こした放射能汚染や停電などによる生産の減少は、その典型的な事例です。グローバル企業のサプライチェーンで、上流から下流まで、どこかで日本経済に依存している部分があれば、直接的な影響が及ぶわけです。

 しかし、金融面での世界経済全体への波及という観点では、影響は比較的限られるのではないでしょうか。その1つの理由が、日本は家計の負債や企業の負債、国の対外負債があまり大きくなく、負債のてこ作用(レバレッジ)が小さいからです。そのため、大震災で被害を受けても、金融・資産市場を通じた世界経済への波及効果は限られます。

 中小企業は多少の負債を抱えているでしょうが、家計は住宅ローンを目いっぱい借りているわけではありません。サブプライム問題でリーマンブラザーズが破綻した時のように、被害を受けた際に純資産が大きく落ちて、倒産が倒産を呼んで、世界全体に金融・資産市場を通じて波及するというのは、ありえないでしょう。

リーマンショックよりITバブル崩壊に近い

 例えば、2000~2001年にIT(情報技術)バブルが崩壊して米ナスダック証券取引所を中心に株価が著しく下落した際、家計や年金基金の資産価値は大幅に減少しました。しかし、下落した資産価値の金額は大きくても、負債比率が低かったので、世界経済への影響は限られました。

 一方、1998年に起きたロシア危機では、資産価値の下落はITバブル崩壊よりもずっと小さかったにもかかわらず、米ヘッジファンドなどがレバレッジを猛烈に利かせていたため、ブラジルなど世界へ一気に波及しました。ちょうど、アジア危機があったせいもありますが、世界経済へ強い衝撃を与えました。

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「懸念は財政、金融政策で名目賃金の上昇を」の著者

大竹 剛

大竹 剛(おおたけ・つよし)

日経ビジネス記者

2008年9月から2014年3月までロンドン支局特派員。2014年4月から東京に戻り、流通・サービス業を中心に取材中

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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