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節電で「バリアフリーの灯」を消すな

外出への不安感は「消費萎縮」も加速させる

  • 高嶋 健夫

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2011年4月7日(木)

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 電力不足への対応で徹底した節電対策が進む首都圏で、高齢者や障害のある人、妊産婦、小さな子供を抱える母親たちの間に外出を手控える動きが広がっている。駅や地下通路、商業施設などにおけるエレベーター、エスカレーターの休止、照明や誘導案内サインの消灯が増えていることで、外出することへの不安感が増幅しているのだ。

 「どのエスカレーターが動いているか分からない」「出口や乗り換えが分かりにくく、駅構内で立ち止まってしまう」といった声が多く聞かれる。余震への不安に原発事故への心理的ストレスが加わって、「とても安心して外出できる環境にない」ということだ。

 こうした不安感を生んでいる最大の要因は、現状ではやむを得ないとはいえ、交通機関や商業施設、公共施設などの対応がバラバラで、節電対策の社会的ルールが明確でなく、しかも情報が不足していることである。

 街の暗さと情報不足が、「消費萎縮」を加速させる要因の1つになってしまっている、と言っても過言ではない。

 そこで、1000万~1500万キロワットもの電力不足が避けられない夏場に向けて、大急ぎで考えなければならないのが、緊急避難的な「節電ルール」をつくり、必要最低限の「バリアフリー動線」を確保することだ。

 総量規制や電力制限令の可能性までが浮上するなど、さらなる電力使用の節減が求められる非常時に、「とてもバリアフリーどころではない」というのが一般的な考えかもしれない。だが、いわゆる生活弱者の安心・安全への目配りがしっかり出来ていることが、実は「消費を下支えする重要なインフラ」であることを忘れてはならない。

ひきこもる障害者・高齢者の実情

 世田谷区在住の40代前半のある知人がこんな話を聞かせてくれた。「近くに住む80歳になる父親は心臓が悪く、都心の大学病院に通院しているのですが、先日行ったとき、いつもは動いているエスカレーターが休止していて、やむを得ず階段を上ったところ、途中で気分が悪くなり、かがみ込んでしまったそうです」。

 これに似たような話は、誰もが身近なところで耳にしているのではないだろうか。

 障害のある人にもない人にも使いやすい共用品・共用サービス(バリアフリー・ユニバーサルデザインの製品・サービス)の普及推進に取り組む市民グループ「共用品ネット」(児山啓一代表)は、3月26日に都内で開いた月例会で東北地方の障害のある被災者への支援活動を協議する一方で、首都圏で暮らす障害者・高齢者が「震災後に困っていること」についての意見を集めた。

 児山代表によると、「やはり駅・交通機関の昇降機の休止に戸惑っている人が多い。エスカレーターの休止は仕方ないにしても、エレベーターの運行は確保してほしいと訴える意見が出た」という。同グループのメンバーには障害者や高齢者も多いため、「そもそも参加者が普段の例会よりかなり少なかった」といい、集まりが悪いこと自体がはからずも外出を敬遠する障害者・高齢者が多い現状を映し出していると見る。

「エレベーターは動いている?」百貨店に問い合わせ

 外出への不安は、小売業界の客足にも微妙な影を落とし始めている。

 例えば、アクティブシニア(元気高齢者)向けの品揃えと店づくりを早くから進め、“シニア一番店”として高齢者層の高い人気を集める東京・新宿の京王百貨店にも、「買い物に行きたいのだが、店内のエレベーターやエスカレーターはきちんと動いているのか」といった問い合わせが来ているという。

 同百貨店では節電対策で館内照明を落としているほか、10基あるエレベーターの半数を休止しているものの、障害者・高齢者・ベビーカーの買い物客らを優先する2基の「ハートフルエレベーター」の運行を確保し、2本ある上下エスカレーターも通常通りに動かしている。それでもこうした問い合わせがあることに、同百貨店では「外出に困ったり、不安を感じたりしているお客様がいかに多いかということの現れでしょう」(総務部広報担当)と困惑を隠さない。

コメント15件コメント/レビュー

よくぞ言ってくれました。一億総自粛で何でも節電すればよいというものではありません。横並び意識が強い我がマスメディアもこの点を指摘したところはないのでは?日本人は名目的な施設やルールを作るのは上手いが、問題はそれが機能しないことでしょうね。 福祉都市を自称する都市が、公共交通機関をバリアフリーにする予算を取って実行するが、建前だけで実際には使えないことが多い。骨折して松葉杖通勤の経験から。(2011/04/12)

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よくぞ言ってくれました。一億総自粛で何でも節電すればよいというものではありません。横並び意識が強い我がマスメディアもこの点を指摘したところはないのでは?日本人は名目的な施設やルールを作るのは上手いが、問題はそれが機能しないことでしょうね。 福祉都市を自称する都市が、公共交通機関をバリアフリーにする予算を取って実行するが、建前だけで実際には使えないことが多い。骨折して松葉杖通勤の経験から。(2011/04/12)

バリアフリーがなくなると今までは働けた人が働けななくり、お金を使っていた方がお金を使えなくなります。障害者を持っていても働ける人にはきっちり働いてもらう、高齢者には気持ちよくお金を使ってもらう。むろん在宅でできることもありますが、やはり最終的に外に出ないと仕方ありません。そういう経済的な観点からもこの記事は重要だと思います。下のコメントの計画停電ですが、「いつ」停電する可能性があるかはわかっています。そのとき「する」か「しないか」がわからないだけです。その時間を割けて移動をお願いするしかありません。これをしなければ突然の大停電か関東全域の計画停電しかないのです。エスカレーターにベビーカーですが、「飛び降り」「飛び乗り」の話はおかしいと思いますが、ベビーカーは危険です。乗ってる間は前後どちらかをを浮かせて支えなければならないので、そのときに大きな揺れがきたら大惨事になります。あと補足ながら足の悪い人は当然エスカレーターを使うべきですね。(2011/04/11)

私の母は70代半ば、一見健常者ですが、足が不自由です。年に1度は転倒します。先月も転倒し、右手を骨折しました。運動のためにプールに通っていましたが、プールサイドで転んでからはそれも控えています。最寄駅へは階段かエスカレーターで上らねばならず、エスカレーターが停止している今は外出そのものを控えるようになりました。右手を痛めているために階段の昇降に手すりを持てないのです。家に引きこもった状態になると、余震が続いていることもあり、非常に精神的に不安定です。ACのテレビCMで階段を上るお年寄りを支える高校生が登場しますが、実際には「遅い」「邪魔」とあからさまに声に出して罵られると申しています。障がい者よりも健常者の方が多いのだから、というコメントがありました。つまり、障がい者は邪魔だから家に閉じこもっていろということですね。(2011/04/11)

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三品 和広 神戸大学教授