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節電で「バリアフリーの灯」を消すな

外出への不安感は「消費萎縮」も加速させる

  • 高嶋 健夫

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2011年4月7日(木)

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 同じ新宿にあるホテルの地下ショッピングセンターに店を構えるステッキ専門店「ステッキのチャップリン」も防衛策に懸命だ。

 山田澄代社長はこう語る。「うちは商売柄、足元に不安があるお客様が多く、安全確保のために店内の照明を落とすことは難しい。その分、バックヤードにある事務所や廊下の蛍光灯を外すなどして節電するので了解してほしいと管理会社にお願いしています」。

 先日も車いすの来店客を館内の多目的トイレまで案内したという。多目的トイレは使用できるが消灯しているので、「1人ではスイッチの位置が分からないかもしれない」と同行したのだ。「今はどこも同じような事情でしょうから、お手伝いを必要とされる人は大変だろうと思います」と、自身も足が不自由な山田社長はため息をつく。

“移動弱者”は今どんなことに困っているか

 それでは、障害者や高齢者は現在の節電対策のどんな点に不安を感じているのか。最大の課題は、「外出中、移動中に何かあったら」という不安感である。主なポイントは2点ある。

 第1が、エレベーターやエスカレーターの休止に伴い、「慣れ親しんだ道順」が寸断されてしまうことへの困惑だ。

 足や目が不自由な障害者や高齢者の中には日頃、自宅から目的地まで安全で歩きやすく、より心身への負担の少ない「最短経路」を覚えて外出する人が多い。そのため、いつも使っている昇降機が止まっていると、ほかの経路を探さなければならなくなる。

 それだけでも大きな重圧になるうえ、たとえ駅ホームの反対側のエスカレーターが動いていたとしても、そこまで長い距離を歩き、上階に上がってからまた同じ距離を戻るか、あきらめて階段を上るか、“究極の選択”を迫られることになる。

 第2が、照明の暗さと、出口や乗り換え口を示す誘導案内サインの消灯への不安感だ。

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 例えば東京メトロの場合、ホームの階段には出口を示す「A1」「B2」といった黄色地に黒文字の表示と、乗り換え方向を示す濃紺地に路線マークと白抜き文字の路線名を記した表示が掲示されている。その大半が今は消灯されており、視覚障害者や高齢者の中には暗くて読めないという人が多い。特に濃紺地の乗り換え表示については「真下に行ってもほとんど判読できず、初めて行く駅では混乱することもある」と訴える人もいる。

 東京メトロの誘導案内サインは視認性に優れ、公共交通機関のバリアフリー対策のお手本として高く評価されている。だが今回、思いがけない落とし穴があることが分かった。前出の児山・共用品ネット代表が次のように解説してくれた。児山氏の本業は公共サインなどを手掛けるアイ・デザイン代表で、中部国際空港(セントレア)や羽田空港国際線ターミナルの案内サイン制作など多数の実績がある。

 「一般に黒地に白抜き文字の表示は、白地に黒文字よりも視認性が高く、より見やすいとされています。ですが、それには内部照明が灯っている、つまり中から光っているという大前提がある。現在のように内部照明を消すという事態は考慮されていないんです」。ここにも、小さな「想定外」が起きているのである。

バラバラな対応で、利用者が混乱している

 東京メトロでは節電対策の現状について、「長い距離のエスカレーターは動かしているほか、多目的トイレも常に利用できるようにするなどバリアフリーには配慮している。今後も利用者から改善を求められる点があれば、できるだけ改善を図っていきたい」(広報課)としている。

 ただ、実際にどの昇降機を動かし、どの照明を消すかは、「それぞれの駅ごとに判断して実施している」(同)といい、緊急事態で電車の運行本数確保が最優先される中、とてもきめ細やかなバリアフリー対応までは手が回らない事情がうかがえる。やむを得ないことではあるが、こうした現場での個別対応が利用者の混乱や困惑を招いている側面があることは否定できないだろう。

コメント15件コメント/レビュー

よくぞ言ってくれました。一億総自粛で何でも節電すればよいというものではありません。横並び意識が強い我がマスメディアもこの点を指摘したところはないのでは?日本人は名目的な施設やルールを作るのは上手いが、問題はそれが機能しないことでしょうね。 福祉都市を自称する都市が、公共交通機関をバリアフリーにする予算を取って実行するが、建前だけで実際には使えないことが多い。骨折して松葉杖通勤の経験から。(2011/04/12)

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いただいたコメント

よくぞ言ってくれました。一億総自粛で何でも節電すればよいというものではありません。横並び意識が強い我がマスメディアもこの点を指摘したところはないのでは?日本人は名目的な施設やルールを作るのは上手いが、問題はそれが機能しないことでしょうね。 福祉都市を自称する都市が、公共交通機関をバリアフリーにする予算を取って実行するが、建前だけで実際には使えないことが多い。骨折して松葉杖通勤の経験から。(2011/04/12)

バリアフリーがなくなると今までは働けた人が働けななくり、お金を使っていた方がお金を使えなくなります。障害者を持っていても働ける人にはきっちり働いてもらう、高齢者には気持ちよくお金を使ってもらう。むろん在宅でできることもありますが、やはり最終的に外に出ないと仕方ありません。そういう経済的な観点からもこの記事は重要だと思います。下のコメントの計画停電ですが、「いつ」停電する可能性があるかはわかっています。そのとき「する」か「しないか」がわからないだけです。その時間を割けて移動をお願いするしかありません。これをしなければ突然の大停電か関東全域の計画停電しかないのです。エスカレーターにベビーカーですが、「飛び降り」「飛び乗り」の話はおかしいと思いますが、ベビーカーは危険です。乗ってる間は前後どちらかをを浮かせて支えなければならないので、そのときに大きな揺れがきたら大惨事になります。あと補足ながら足の悪い人は当然エスカレーターを使うべきですね。(2011/04/11)

私の母は70代半ば、一見健常者ですが、足が不自由です。年に1度は転倒します。先月も転倒し、右手を骨折しました。運動のためにプールに通っていましたが、プールサイドで転んでからはそれも控えています。最寄駅へは階段かエスカレーターで上らねばならず、エスカレーターが停止している今は外出そのものを控えるようになりました。右手を痛めているために階段の昇降に手すりを持てないのです。家に引きこもった状態になると、余震が続いていることもあり、非常に精神的に不安定です。ACのテレビCMで階段を上るお年寄りを支える高校生が登場しますが、実際には「遅い」「邪魔」とあからさまに声に出して罵られると申しています。障がい者よりも健常者の方が多いのだから、というコメントがありました。つまり、障がい者は邪魔だから家に閉じこもっていろということですね。(2011/04/11)

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