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高齢化と人口減少という被災地の厳しい条件

地域人口データを使って阪神・淡路大震災と比較してみると…

  • 出口 恭子

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2011年4月14日(木)

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 東日本大震災から1カ月余りが経った。原発事故は収束の見通しすらたっていない。余震も広い範囲にわたって続いている。一方、津波被災地でも岩手県や宮城県では、復旧に向けた取り組みが始まっている。また、各方面で、被災地の復旧・復興のための議論形成や提言づくりに向けた動きが広がりつつある。

 震災から日が経つにつれ、首都圏の電力不足問題、部品の供給(サプライチェーン)問題、放射能漏れに伴う風評被害などの二次的被害が顕在化してきているが、原発事故による被害を除いた地震、津波による直接的被害さえ、その甚大さから、全貌が明らかになるには、もうしばらく時間を要するだろう。しかし、「今後大幅に増加する見込み」といった条件付きながらも明らかになる各分野の被害状況等から、今回の被害が1995年1月の阪神・淡路大震災の被害を大きく上回ることは明らかだ。

 災害救援や復旧作業の関係者から、津波被災地を取り巻く諸条件が、阪神・淡路大震災の時よりも厳しいという声がしばしば発せられている。では、被災地全体を見た場合、どの程度厳しいのだろうか。こうした視点は、復旧・復興に向けて、阪神・淡路大震災の経験を参考にするにせよ、新たなパラダイムに立った計画を練るにせよ、必要になるのではないだろうか。

 そこで、地域人口データという限られた側面からではあるが、津波被災地を阪神・淡路大震災の被災地と比べてみることにした。ここでの比較は、災害発生から20日あまり経過した時点で発表されている被害状況に基づくものであり、今後の被害状況の修正に応じて変化することをご了承いただきたい。

岩手・宮城・福島3県の沿岸部だけでも6倍の面積

 東日本大震災の津波は、太平洋に面する青森県から千葉県までの全長500キロに及ぶ沿岸部に甚大な被害をもたらした。これら南北に伸びる沿岸部でも、岩手、宮城、福島の東北3県の沿岸部では、人的被害が特に深刻である。

 岩手、宮城、福島の3県の市町村数は、3県合計で128市町村。その約3割にあたる37市町村が太平洋に面した海岸線を持つ。この沿岸部37市町村の市町村域の面積を足すと、約9200平方キロとなる。これは、鹿児島県の面積にほぼ匹敵する(注1)。

(注1)この沿岸部37市町村には仙台市が含まれる。仙台市については、市域全てではなく、海岸沿いの宮城野区と若林区の2区の面積のみを算入した。

 阪神・淡路大震災の被災地は、一般的に、兵庫県下の神戸市などの10市10町(当時)のエリアとされる。そこで、行政区域を用いて単純計算してみると、今回の被災地のうち、津波被害が特に深刻であった東北3県の沿岸部だけでも約6倍の面積となる(注2)。

(注2)阪神・淡路大震災では、兵庫県下の10市10町(当時)に災害救助法が適用されたことから、この10市10町が被災地とされることが多い。この10市10町とは、神戸市のほか、人口集積の高い尼崎市や西宮市等のほか淡路島の1市10町である。一方、東日本大震災では、被災地でない地域が積極的に避難者の救助に当たれるようにするため、災害救助法の弾力運用により被災地でない市町村にも同法が適用されていることから、同法の適用市町村を被災地とみなすことができない。

 次に、被災地の人口について比較してみた。東北3県の沿岸部37市町村の住民は、2010年10月実施の国勢調査の速報結果を用いると、180万人程度である。阪神・淡路大震災時の被災地の住民(350万人程度)の半分程度と少ないものの、熊本県1県分の人口にほぼ匹敵する(注3)。

(注3)仙台市については、面積と同様に、宮城野区と若林区の人口のみを算入した。

 つまり、津波による人的被害が甚大であった東北3県の沿岸部は、阪神・淡路大震災の被災地の6倍の広いエリアに、その半分の人口が点在するという地理的条件を持つ地域だった(図1)。

 津波被災地が広範囲に及ぶことから、震災生存者の捜索・救助や、被災地への救援物資の輸送が難航しているといった報道があるが、データからもそれがうかがえる。さらに、この悪条件は今後の復旧作業においても負担となるであろう。

 なお、ここでの比較は、あくまでも津波被害が特に甚大であった東北3県の沿岸部についてみたものである。津波被害は、この3県のほか、八戸周辺(青森)から九十九里浜(千葉)にも及んだ。現実には、これよりも厳しい地理的条件に津波被災地は直面していたことになる。

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