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西日本が復興を支える

ハウステンボス社長 澤田 秀雄氏からの提言

  • 飯山 辰之介(日経ビジネス記者)

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2011年4月21日(木)

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 東日本大震災が誘発した原発問題は観光業を直撃した。各地の宿泊施設や旅行代理店は殺到するキャンセルに苦しみ、既に倒産の憂き目に合う業者も出始めた。

 業界を代表する経営者はこの状況をどう見るのか、どこに復活の芽を見いだしているのか。旅行代理店大手HIS創業者で、現在はハウステンボスの再生にも取り組む澤田秀雄・エイチ・アイ・エス会長兼ハウステンボス社長に語ってもらった。

 東日本大震災によって、日本は戦後最大の国難に直面しています。言うまでもなく、その影響は製造業から農林漁業、そして私たち観光業を含んだサービス、小売産業まで、日本の全産業に及ぶでしょう。

 こと観光業に関して言えば、特に打撃が大きいのは外国人観光客の流出です。

 HISでは震災から1週間前後、在日外国人への対応に追われました。彼らの動きは早かった。多くの外国人が日本を脱出し、自国に戻ろうと航空券を求めて殺到したのです。特に東京からの流出が激しく、成田空港や羽田空港発の便が満席になると、関西国際空港などから出国しようとする人までおりました。

 まるで潮が引くように、日本からは外国人観光客が去っていったのです。私は長崎県にある観光施設、ハウステンボスの社長も務めておりますが、被災地から遠く離れたこの地でも、外国人観光客はパタリと見かけなくなりました。

 ハウステンボスには韓国、台湾、中国などからの観光客が多く訪れ、全入場者の2割が海外からの観光客で占められていました。それが霧散してしまったわけです。施設内にある宿泊施設では震災以降、3〰5月の予約を中心に約1万1000人のキャンセルに見舞われましたが、そのうち約6000人は外国人観光客からのものです。

長崎県の大型リゾート施設「ハウステンボス」を救済。社長として陣頭指揮に当たる澤田秀雄エイチ・アイ・エス会長(写真:都築雅人、以下同)

 外国人観光客の誘致は日本の数少ない成長分野です。ですから、その衝撃は非常に大きい。特に外国人観光客からの収益で成り立っていた企業にとっては深刻な事態です。

 ではなぜ、震災の直接的な被害を受けていない九州まで外国人に敬遠されてしまうのか。原発問題の影響で海外の国々からは日本全体が危険だと見なされているのです。その風評を抑えるためにも、問題に取り組んでおられる方々には正確な情報を素早く公表していただきたい。

 とにかく私たちは風評を変えなければなりません。そこで今、ハウステンボスでは4月の施設内風景を撮影したプロモーションビデオを作製中です。後述しますが、ハウステンボスは今、多くの日本人観光客で賑わっています。その風景をゴールデンウィーク明けにも中国の代理店やお客様に見ていただき、ハウステンボスが、ひいては九州が安全であるとアピールしたいと思っています。

 本来であれば、このような仕事は政府や自治体がやるものでしょう。ですが行政の対応は鈍く、このような緊急時にその動きを待つ猶予はありません。

関西や九州は元気

 海外に対する風評被害の克服に挑む一方で、ハウステンボスでは外国人誘致から当面は日本人観光客の取り込みに力を入れています。特に注目しているのが個人客です。団体ツアーなどは依然として自粛傾向が続いていますが、個人旅行については需要が戻りつつあります。その成果はすぐに出ました。4月の入場者数は昨年同月比2割増で推移しているのです。

 この傾向はHISでも同様です。4~5月の予約状況を見ると、東北地方発の旅行需要は非常に厳しい。また、関東地方でも10~20%減少しています。一方で、関西や九州では例年並みかそれを上回る予約が入っている。つまり、九州や関西は元気で、旅行やレジャーの中心が西にシフトしているのです。だからこそ、海外にも関西以西の観光をアピールしなければなりません。

 震災以降は企業の本社機能や外国の大使館機能などが大阪に移っていると聞きます。

 であれば、関西や九州など西日本から経済復興を図るという考えもあるのではないでしょうか。さらに言えば、東京を政治文化の中心とし、関西を経済の中心にしてもいい。江戸時代以前の体制に戻すわけです。こうして震災や原発問題、計画停電などに苦しむ東日本の打撃を西日本の経済力で補い、その力を復興に回していくという考え方です。

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