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原子力の欠落を埋める最大の方策は「省エネルギー」

化石燃料の発電効率と有効利用率の向上がカギ

2011年4月22日(金)

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 先週はエネルギー問題の基本について述べたが、再生可能エネルギーのうち、伝統的な水力発電と地熱発電、及びバイオマスについても若干触れたい。この3つとも、既に示した米国エネルギー省エネルギー情報局のコスト分析においては、原子力発電と大差ないコストになっており、かつ太陽光発電や風力発電の様な出力不安定性はなく、一見原子力の主要代替エネルギー源になりそうに見える。

 しかし、これらの問題は供給可能量が限られている点である。水力発電は、例えば日本では既に適地はほぼ最大限利用し尽くされており、新たに利用できる余地はほとんどなく、また無理にこれを行えば、大規模景観破壊と河川生態系の破壊を必然的に伴う。

 地熱発電は、日本の様な火山国では既にかなり利用が進んでいるが、これ以上さらに大規模開発するとなると、大半の適地が国立公園内であるため景観破壊、近隣の温泉枯渇や、硫黄や重金属類の流出の問題、あるいは地下に水蒸気をリサイクルした場合に地震発生の問題など、様々な問題を生じる可能性があり、追加可能量は限られる。

 バイオマスについては、かつて10年程前頃は農産物原料のエタノールやディーゼル油が、世界的に石油代替燃料としてかなり期待されたが、その後に食糧との競合の問題が明確になり(これによる食料価格高騰が、明らかに現在の中東の政治動乱の一因でもある)、現在世界の食糧生産の総カロリー量は、人類が使用している総エネルギー量の3%程度にしかならない。一方で食糧と競合しないセルロース系の技術開発は目途が全く立っていない。従って、現時点で期待できるバイオマスエネルギーは、サトウキビ搾り滓、製紙黒液、家畜糞尿、廃材などの有機廃材の有効利用しかなく、供給量は限られる。

 今週は今回の原発事故による今後の原子力発電の欠落分を、中長期的に意外に省エネルギーによる埋め合わせる余地が大きく、おそらく数ある埋め合わせ策、代替策の中で最大の寄与度を持つ方策であろうと考えられる事について述べる。

大きい省エネルギーの余地

 例えば、世界最大のエネルギー会社にして、全業種の中で最大の民間企業でもあるExxonMobilは、最新の長期エネルギー見通しの中で、世界の省エネルギーは、下図のように2030年までに潜在的エネルギー需要の30%にも達するとしており、これが再生可能エネルギーの導入よりも何よりも、最もインパクトの大きいCO2削減策であるとしている。

ExxonMobil 2009年12月 Outlook For Energy: A View To 2030

 省エネというと、日本では既に乾いた雑巾をさらに絞るようなものになっており、余り期待できないと思われるかもしれない。確かに家電製品や工場などでの省エネは、1970年代の石油危機以降にかなり進んでおり、これ以上の画期的向上というのはなかなか厳しいことのように見える。実際、統計で見る限り、需要サイドの省エネは、産業部門でも業務用でも過去20年ほど横ばいで全く向上していないし、家庭のエネルギー使用量はむしろ漸増傾向にある。

 しかし、電気需要ではないが、03年以降ガソリン価格が高騰したガソリン車の燃費効率は、同一車種で過去20年間に何と3~5割も向上している。カタログ性能では、ガソリン1リットル当たり、トヨタクラウン2500ccは90年の8.1キロメートルから09年型では12.0キロメートルに向上しているし、ハイブリッドのプリウス最新型は35~38キロメートルも走る。日本全体の新車販売実績でも、12.5キロメートルから、2008年実績が16.9キロメートル、2009年度が18.1キロメートルとなっており、現在までに4割以上も向上している。しかも、今後もハイブリッド車の普及と小型車化の流れで、ますます大きく燃費向上が進むことは間違いない。

 このようにガソリン車を例に考えれば、需要サイドの省エネも、特に民生用については、まだ十分進められる余地があり、要は省エネのインセンティブが如何に強化されるかであると考えられる。

 特にガソリン車同様、家庭用の電気機器に限れば、特段の技術ブレークスルーを必要としない小型化、機能単純化が重要だろう。これまで、乗用車同様に不必要に大型化、あるいは待機電力を必要とする不必要なまでのリモコン化、自動化、多機能化、利便化、つまり高級化が行われて来た。また、商業施設や事務所など業務用についても、欧米と比べても過剰までの照明の是正やLEDへの転換など、工夫の余地はまだまだあると考えられる。

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