• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

復興の財源はストックにあり

日本大学 円居総一教授に聞く

  • 円居 総一

バックナンバー

2011年4月28日(木)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 激震と津波に加えて、人災とも言える原発危機の発生は、出口が見えない未曾有の複合危機の様相を呈している。原発危機は、経済、社会の前提となる生命、安全を脅かす。さらに、原発危機がもたらす様々な不確実性の拡大が、経済の損失と落ち込みを助長する。その影響の規模を現段階で試算しても意味はない。

 今、求められるのは、以下の二つだ。第1に、影響の最小化をどう図り、経済復興をどう進めるべきか。第2に、原発危機が明らかにしたエネルギー政策や組織ガバナンスの欠陥など経済・社会システム上の改革をどう進め、社会の再生と新たな持続的成長パスへの移行をどう図っていくか。ここでは、復興の政策課題に絞って考えてみたい

被害額の多寡よりも「不確実性」の波及が問題

 まず被害の状況について見る。原発危機は継続中であり、その全貌はつかみ得ない。大災害の損失は、被災地の家屋や事業所、設備などのハードの損失を直接被害、経済活動というフローの面での損失を間接被害として捉える。OECDや内外の金融機関の当初の推計では、総計で概ね25兆円前後であった。これら推計は、自動車部品の問題で広く知られるようになったサプライ・チェーンの問題など、他の地域の経済活動への影響や電力制約の影響などは含んでいない。

 こうした直接の被害だけでも、最大級の惨事だが、出口の見えない原発危機の発生は、経済活動にとって致命的な不確実性の拡大をもたらし、経済的損失を拡大している。不確実性は、一定の計算や推測が可能なリスクとは異なり、予測が覚束ないものだ。電力制約への不確実性のみならず、先行きへの不安は、復興需要への期待を全般的に削いで、企業の生産や設備投資の抑制、消費の委縮など、自己防衛行動と経済の委縮を広く進めてしまう。日銀が直近に発表した企業短期経済観測調査(短観)や同支店長会議報告でも、落ち込みの波及が確認されるところだ。

 IMFは損失を50兆円規模に修正したが、焦点は規模そのものにあるのではない。原発危機のような致命的不確実性が伴わなければ、災害は一方的な需要の喪失を招くものではない。その規模に匹敵する復興需要を生むから、波及効果も含めて、かえって経済の成長を高めることにもなる。災害後の展開は通常そうなる。

 だが、経済は調和的に動いて行くのではなく、先行き期待により、上にも下にも自己実現的に増幅していくものだ。例えば、復興需要が期待されるにもかかわらず、投資家は建設株に投資していない。これに象徴されるように、復興期待の前に、不確実性の広がりが、足元の落ち込みを拡大させているのが現状だ。不確実性が長期化すれば、復興以前に経済が再びデフレ・サイクルに陥りかねない。今は、その分水嶺にあると見なすことができるだろう。

 母体となる経済が落ち込みサイクルに入ってしまっては、復興自体も厳しくなろう。復興に向けては、まず不確実性の拡大と、その経済活動への波及を最小化していくことが急務であり、必要不可欠だ。その優先課題は、電力供給の不確実性の改善に向けた電力の確保と、被災地域の部品製造ラインの復旧を核とするサプライ・チェーンの建て直しだ。ともに経済を落ち込ませる波及効果が大きいからだ。

コメント0

「復興への道」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

コメント入力

コメント(0件)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

意外なことに、伝統的な観光地が 訪日客の誘致に失敗するケースも 少なからず存在する。

高坂 晶子 日本総合研究所調査部主任研究員