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自宅待機中の給料は? 原発事故の賠償は?

天災で損する人、損しない人~大震災と法律問題

  • 岡田 和樹

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2011年5月11日(水)

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 大地震、津波、そしてその後の原子力発電所の事故で、地震や津波の被災地だけでなく、広範囲な国民生活と農業、漁業を含む経済活動が大きな影響を受けている。こうした経済活動への影響は、法律的にどう取り扱われるか。企業間の契約関係や企業と従業員の法律問題を円滑に解決することも、「復興」に向けて私たちが取り組まなければならない大きな課題の一つである。

天災で損する人と損しない人

 震災後、弁護士会の電話相談には、電話が殺到し、仙台弁護士会では、4月末までに、3600件を超える相談があり、日弁連などが連休前半の3日間に95箇所の避難所で行った相談には、1000件を超える相談があったという。地震と津波によって工場が全壊して、約束していた日までに製品を納入できなければどうなるか、あるいは、取引先から預かっていた品物が流出してしまったがどうなるのか、など問題は多岐にわたる。

 また、従業員が出勤できなくても会社は給料を支払わなければならないのか、従業員が地震で怪我をしたら労災保険は出るのか、なども問題になろう。さらに、個人としても、住宅が全壊したら、住宅ローンはどうなるのか、地震保険は出るのか、など多くの問題が生じよう。

 これだけ大きな天災になると、多くの企業や人に甚大な被害を与える。災害は人を区別しない。しかし、法律的には、損害の負担は平等ではない。法律は、こうした天災の場合に、責任を負う人と負わない人をはっきり区別する。

 誤解を恐れずにいえば、法律の世界では、「天災で損する人と損しない(場合によっては得する)人」がいるということになる(実際には、「巨額の損をする人」と「相当の損をする人」ということであろう)。ここでは、ごく一部であるが、多くの企業や個人が抱える法律問題のいくつかを検討してみよう。

メーカーと部品会社の取引の場合

 契約を守らないと、それによって生じた損害を賠償しなければならず、場合によっては、契約を解除される。例えば、自動車部品を作る会社が、約束の日までに部品をメーカーに納入できなければ、普通は、それによって生じた損害を賠償しなければならない。

 その損害は、納入が遅れたことによって工場がストップしたりすると、その期間中の工場のコストなど莫大な額になり得る。また、メーカー側としては「契約違反」を理由に、取引そのものをやめてしまう(契約解除)も可能である。

 しかし、天災のために契約を守れなかった場合には、こうはならない。「地震などの天災によって契約を守ることができなかった場合は、その責任を追及しない」というのが法律の原則である。だから、この自動車部品会社の場合なら、期日までに部品を納入できなくても、これによる損害賠償をする義務はないし、取引契約を解除されることもないということになる。

 だから、この場合は、メーカーが「損する人」で、部品会社は「損しない人」ということになる(ただし、工場全壊という大損害を被っているのだが)。ただし、当事者間でこれと異なる合意(特約)をしていると、その合意の方が優先されることもあり得るので注意が必要である。また、「天災の場合には責任を負わない」という原則には例外がある。それは、「金銭の支払」である。金銭の支払が遅れた場合については、それが天災による場合でも遅延利息を支払うことになっている。

売買の対象が地震で滅失したらどうなるのか?

 今回の地震では、多数の自動車が津波によって流されたり、駐車場に置いてあった多数の新車が火災で全焼したりしてしまったことがニュースで報じられた。中には、売買契約が成立していた車もあったであろう。

 そこで、売買契約が成立した後に、その対象物が地震や津波で失われてしまった場合の法律関係はどうなるかを検討してみよう。例えば、注文を受けて製造した自動車部品を倉庫に保管中に津波で流出してしまった場合や、注文した新車が納車前に地震で全壊してしまったような場合である。

 この問題の処理は、購入した物が何かによって異なる。買った物の性格によっては、買主は、代替品を請求することができることもあるが、逆に、物をもらえないのに、購入代金を支払わなければならないこともある。これは、法律的には、天災による物の毀損や滅失について、売買当事者のどちらが「危険」を負担するかという問題として取り扱われている。

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