• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

「賞金稼ぎ」が切り開く米国のイノベーション

西部開拓時代を彷彿させる問題解決手法が復活

  • 安井 明彦

バックナンバー

2011年5月26日(木)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 イノベーションに米国の将来をかけるバラク・オバマ政権。その秘密兵器ともいうべき存在が、「懸賞金」を使ったイノベーションの奨励だ。

「エネルギー効率の高い新型電球の開発=懸賞金1500万ドル(約12億1000万円)」
「超小型人工衛星の打ち上げ=懸賞金200万ドル(約1億6000万円)」
「太陽光蓄電池で動く惑星探査機の開発=懸賞金150万ドル(約1億2000万円)」

 オバマ政権が展開する懸賞金つきのイノベーション奨励策の例である。2010年9月にオバマ政権が開設したウェブサイト「Challenge.gov」には、33の政府機関による92件の懸賞金が紹介されている(5月中旬現在)。新型電球の開発はエネルギー省、ほかの2つはNASA(米航空宇宙局)が管轄する懸賞だ。

 このほかにChallenge.govに紹介されている中では、やはりNASAが管轄する新型飛行機の開発に関する懸賞が大詰めを迎えている。2009年7月に募集が始まったこの懸賞では、「200マイル(約320km)以上の距離を、2時間以内に、乗員1人当たり1ガロン(約3.8リットル)のガソリン消費に相当するエネルギー以下で航行できる飛行機」の開発が競われる。懸賞金総額は165万ドル(約1億3000万円)。今年の7月にはカリフォルニア州で実地の飛行実験が予定されており、現在13チームが出場予定である。

オバマ大統領が主導した懸賞金制度

 米国が模索する経済危機後の新たな成長戦略で、イノベーションは重要な位置づけを占めている。

「米国が未来を勝ち取るための第1のステップは、イノベーションを促すことだ」

 オバマ大統領は今年1月25日に行なわれた一般教書演説でこのように述べた。「未来を勝ち取る」がキーワードとされたこの演説で、教育やインフラ投資と並んで主役級の扱いを受けたのがイノベーションである。ライト兄弟やグーグル、フェイスブックを例示したオバマ大統領は、「米国におけるイノベーションは単に暮らしを変えるだけの存在ではない。我々にとってイノベーションは生活の糧なのだ」と述べ、米国に脈々と流れるイノベーションの伝統を説いた。

 イノベーションに米国の将来をかけるオバマ政権にとって、懸賞金を使った奨励策は秘密兵器的な存在だ。

 2009年9月に発表された「米国のイノベーションのための戦略」。米国の成長戦略の柱の1つにイノベーションを据えたこの政策文書の中で、オバマ政権は各省庁に懸賞金制度の検討を呼びかけている。

 2010年3月には、各省庁向けに懸賞金制度の設置と運営に関する手引きを作成。同4月には合計70の省庁・民間団体の関係者を集めて、懸賞金を使ったイノベーションの奨励に関する会議をワシントンで開催している。さらには前述のChallenge.govの開設によって、各省庁が展開する懸賞金制度をまとめて紹介する仕組みが整えられた。

 米国議会もオバマ政権に続く。今年1月に成立した「2010年米国COMPETES再授権法」。科学技術分野での研究開発強化を謳ったこの法律には、懸賞金を使ったイノベーション奨励策の法的な枠組みを整備する内容が含まれる。NASAなどについては以前から懸賞金制度の運営を認める個別の法律があったが、今回の法律によってほかの省庁も懸賞金制度が格段に利用しやすくなった。

コメント0

「Money Globe- from NY(安井 明彦)」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

コメント入力

コメント(0件)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

意外なことに、伝統的な観光地が 訪日客の誘致に失敗するケースも 少なからず存在する。

高坂 晶子 日本総合研究所調査部主任研究員