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難題解決の最前線にいる市町村をどうバックアップするか

“元産廃Gメン”が提言する地方自治の新たな枠組み(下)

2011年6月3日(金)

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 小泉内閣の時に三位一体の改革(国庫補助負担金、税財源、地方交付税の一体的改革)と言われた地方自治改革は、平成の大合併によって多くの中核市(人口30万人都市)を誕生させた以外は大きな成果がなく、財源と権限の不一致はそのまま残された。市町村の数は半減(3232から1732)し、市町村の財政規模は平均して倍になったが、今回の震災に自力で対応できる規模になった自治体は少なかった(東北地方の中核市は青森、盛岡、秋田、郡山、いわきの5市)。

最も早く動いた「関西広域連合」

 市町村がそれなりに大きくなっただけ、都道府県の役割は中途半端になり、今回の震災で県が果たした役割も国県道や二級河川など県管理施設の復旧だけであり、後は情報を収集して国に報告したにすぎない。知事が本部長となる県の災害対策本部は情報収集機関にすぎず、国や首相の無能を笑えない。

 国は復興庁の創設といった耳ざわりのいい施策に傾いており、メディアもそれを追っているが、復興庁が設置されるのは1年以内という悠長な案であり、いずれにせよ復興庁が市町村の窮状を救ってくれるとは思えない。それよりも中途半端な役割しか果たせていない県に、災害廃棄物処理や都市計画などの復興事業の包括的な執行権限を与えるほうが近道だと思われるが、県は国からも市町村からも頼りにされていないため、そのような声は高まらない。

 今回の震災で最も早く組織的に動いたのは関西の自治体だった。2府5県でつくる広域行政組織「関西広域連合」(地方自治法284条に規定される特別地方公共団体)は、兵庫県の井戸敏三知事の発案で、対口支援(ペアリング支援)を開始した。これは兵庫、徳島、鳥取が宮城、京都、滋賀が福島、大阪、和歌山が岩手と担当県を決めて継続的に支援する方法で、たとえば大阪と和歌山は岩手県庁に「関西広域連合岩手県現地事務所」を設置して職員を常駐させることにした。

 関西ほど組織的ではないが、全国の自治体がカウンターパートを決めて支援に乗り出している。千葉県庁も大船渡市役所への人的支援を決め、ゴールデンウィーク前から職員の支援希望者を募り、派遣された職員は義捐金の受付事務などを担当している。

 このほか緊急度の高い医療スタッフは、震災直後から東北地方の被災地に派遣されている。こうした人的支援は大賛成だが、希望者を募った程度の支援でいいのかという疑問は残る。また、それぞれの自治体がばらばらに支援先を決めるため、支援の厚いところと薄いところのまだら模様になってしまう。避難者を受け入れている自治体も多く、たとえばさいたま市は福島県双葉町の役場ごと町民1200人を受け入れた。この場合も、さいたま市の自主的な申し出だったようで、国が斡旋役を果たしたものではなかった。

まんべんなく支援チームを派遣すれば復興スピードは倍に

 地方公務員は全国に280万人いる(一般行政93万人、教員106万人など)。その1割の28万人の人的支援を総務省や文部科学省のリーダーシップで組織し、職員が疲弊しきって復興事業が停滞しているすべての被災市町村にまんべんなく支援チームを派遣すれば、復興のスピードは倍になるのではないかと思われる。

 被災地域の人口は岩手県11万人、宮城県29万人、福島県5万人、福島第一原発から30km以内14万人合計59万人と推定されているので、人口100人あたり4人(一般行政、医療・福祉、教育、消防・警察)の応援隊を組織すると、必要な人員は約2万4000人。派遣期間を1か月とした場合、1年間の延べ人員は約28万人となる。

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「難題解決の最前線にいる市町村をどうバックアップするか」の著者

石渡 正佳

石渡 正佳(いしわた・まさよし)

千葉県県土整備部用地課土地取引調査室長

1958年千葉県生まれ。産廃Gメン時代に出版した『産廃コネクション』(2002年)が2003年「日経BP・BizTech図書賞」を受賞した。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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