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あなたは「安全という商品」を十分に手に入れたか

復興そして成長へ、日本にはリソースが豊富にある

  • 三橋 貴明

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2011年5月30日(月)

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 本連載は今回が最終回である。

 さて、日本経済の成長をテーマに講演をすると、時折(と言うより、ほぼ毎回)、以下の質問を受けることがある。

 「日本は成熟化し、我々日本人は、欲しい物はあらかた手に入れた。これ以上、経済成長するなどということは無理なのではないだろうか」

 予め定義しておくが、ここで言う「経済成長」とは、国内総生産(GDP)の拡大を意味している。まずは、2010年の名目GDP(支出面)の数値を確認しておこう。

画像のクリックで拡大表示

 日本のGDPは、およそ59%がいわゆる個人消費(民間最終消費支出)で占められている。個人消費がGDPの6割前後というのは、先進諸国としては平均的な水準だ。アメリカの個人消費はGDPの7割を上回っているが、同国はあくまで「例外」である。

 さて、前述の「欲しい物は手に入れた」とは、今後の日本では個人消費がそれほど伸びないのではないか、という問いであろう。この種の疑問を抱く方に、筆者は心底から問いかけたいと思う。

「あなたは『安全という商品』を十分に手に入れたと思いますか」

自然災害に直面、覚悟せざるを得ない

 宮城県沖で30年以内に大規模な地震が発生する確率は、地震調査研究推進本部によると99%だった。さらに、今後30年以内に「東海・南海・東南海地震」が発生する確率は50%(南海)~87%(東海)、「首都直下型地震」は70%である。しかも、今回の三陸沖大地震により、東海地震などの発生確率が高まった可能性がある。

 東海・南海・東南海地震にせよ、首都直下型地震にせよ、万が一、発生した場合、東日本大震災を上回る被害をもたらす可能性が高い。しかも、発生確率は実のところ「万が一」などと断言できるほど、低くはないのだ。

 日本はユーラシアプレート、北アメリカプレート、太平洋プレート、そしてフィリピン海プレートの、4つの大陸プレートが交じり合う真上に位置している。結果、日本は世界屈指の震災大国であり続けた。世界で発生するマグニチュード7以上の大地震は、何とその2割超が、この小さな日本列島周辺に集中しているのである。

 さらに、日本列島は台風の通り道に位置し、水害や土砂災害が絶えない。加えて、火山も多く、国土は峻険な山々で満ちている。川は急流で、大雨が降ると一気に水かさが上がってしまう。

 すなわち、そもそも日本の国土に人間が居住する場合、何らかの自然災害に直面することを覚悟せざるを得ないという話だ。日本人は太古の昔から、様々な自然災害に打ちのめされ、その度に復興し、以前より素晴らしい国土を実現することを続けてきた。

付加価値とは人間の「アイデア」が基

 中国や欧州のように、異民族の大軍が押し寄せ、何十万、何百万人もの人々が殺される大虐殺を経験することがなかった代わりに、日本列島では、人々が自然災害により理不尽に生命を奪われる。天災という理不尽な災厄が襲いかかってきても、そのたびに勤勉に努力し、かつてよりも素晴らしい国家を実現することを続けてきたのが日本人である。そして、我々現在に生きる日本国民は、彼らの子孫ということを忘れてはならない。

 日本国民が勤勉であるというのは、相対的に見る限り確かな事実だと思う。しかし、それは別に天から与えられた美点ではないだろう。度重なる自然災害と戦わない限り、日本列島で生きられないという厳しい現実により、培われたものであると確信している。

 さて、ここで改めて読者に問いかけたい。

「あなたは『安全という商品』を十分に手に入れたと思いますか」

コメント67件コメント/レビュー

この方のおっしゃっていることは、その通りだと思うし、「普通」の経済対策だと思う。アメリカの景気が立ち直ったのも、QE1、QE2という大規模な国債の買い入れを実施したからです。また、みんなの党の「大復興アジェンダ」にも、数10兆円規模の長期国債の買い入れが明記されています。それでも、円の暴落が心配なのならば、1兆1000億ドルを超える(2011年5月現在)外貨準備高を取り崩して為替介入を行えばいい。なぜ、批判する人が多いのか理解できない。(2011/07/04)

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この方のおっしゃっていることは、その通りだと思うし、「普通」の経済対策だと思う。アメリカの景気が立ち直ったのも、QE1、QE2という大規模な国債の買い入れを実施したからです。また、みんなの党の「大復興アジェンダ」にも、数10兆円規模の長期国債の買い入れが明記されています。それでも、円の暴落が心配なのならば、1兆1000億ドルを超える(2011年5月現在)外貨準備高を取り崩して為替介入を行えばいい。なぜ、批判する人が多いのか理解できない。(2011/07/04)

内部留保を勘違いしている信者がいるようです。内部留保は現金ではありません。内部留保は大抵の場合、既に別の資産(設備など)に形を変えています。現金や預貯金とは全く性質が違うものです。「企業が内部留保する」という行為は、「一般家庭が貯金してお金を使わない」のではなく、「一般家庭における給与」と同じです。当然、給与は家やら車やらの【資産】に変わったり、食費や光熱費などの【費用】に形を変えています。企業の内部留保も同様に、現金の形から設備などの【資産】に変わっていることがほとんどです。国債発行による公共事業は、内部留保(【純資産】)からお金を回すのではなく、債権(【負債】)からお金を回しています。根本が間違っています。(2011/06/06)

確かに国家財政を家計に置き換えるのは適切ではない。要は復興財源を税金(消費税率のアップ、復興税の新設)でまかなうか、復興国債を発行、財源を得るかの方法の選択の問題だ。一長一短があり、短期的、長期的に見るかによっても選択が異なってくる。妥協案として、必要財源を「税金」「国債」の両方で集める・・・選択肢もありかもしれない。ただ、1400兆円といわれている日本国民の財産は、ほとんどが国債に化けている訳で、「政府の借金」は「国民の財産」なっており、一部の経済評論家が「国債のデフォルトは無い」と主張している背景にもなっている。しかし、国民の多くが、日本国債の信用性、価値に見切りをつけ、現金化、或いは海外ファンドなどに投資する・・・などの雪崩現象が発生したとき、どのようなことになるのだろうか。そうならないためにも「国家財政」の健全化に眼を背けてはいけないと考える。(2011/06/06)

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