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「独り占め」から「共有」へ

日本政府、企業は今すぐ「メッシュ」の実験を

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2011年6月17日(金)

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 シェア型経済の台頭を示唆して話題になった『メッシュ』著者のリサ・ガンスキー氏。インターネット黎明期に商用ウェブサイトGNN(のちにAOLが買収)や写真共有サイトのOfoto(オフォト)といった複数の先駆的なインターネット関連ビジネスを立ち上げたことでも知られる同氏にシェアビジネスを生かした日本再生への提案をしてもらった。
リサ・ガンスキー氏(Lisa Gansky)
シリコンバレーの名物起業家。1990年代前半に米国で最初の商用ウェブサイトGNN(のちにAOLが買収)や写真共有サイトのOfoto(オフォト)といった複数の先駆的なインターネット関連ビジネスを立ち上げる。オフォトはイーストマン・コダックへの売却により4500万人以上の顧客を誇るサービス「コダックギャラリー」として発展した。商用インターネットの成長と発展を知り尽くした豊富な起業経験を生かし、現在は20以上ものインターネットサービス企業、モバイルサービス企業、ソーシャルベンチャーへの経営指導や投資活動にあたっている。カリフォルニア州ナパ在住。

 メッシュとは、元来、網の目のことですが、「織り込む」という意もあります。長年インターネットのビジネスにかかわってきましたが、コミュニティ、情報、物理的なモノをインターネットというネットワークの網に織り込んだら何が出てくるか、と考えたのです。
 私はそれを、メッシュ・コミュニティやメッシュ・ビジネスと名付けてみました。すなわち、モノやサービスの共有、レンタルですが、共有することによってデータが得られ、それを活かすことであらたなサービスへと広がります。

 インターネットの普及は、コミュニティや国、企業、ライフスタイルに対して、われわれが長年抱いてきた考え方を大きく変えました。メッシュ・モデルは、有機的で各所にノード(結節点)があり、敏感に反応する。つまりピア・ツー・ピア(P2P)的なあり方でもあります。

 エジプト革命などを例に引くまでもなく、企業対個人、政府対個人という図式は崩れ、人々が個々につながり合うP2P時代。こうした個の台頭を無視してシェア、メッシュという新潮流を語ることはできません。

 前世紀に支配的だった「所有」を目的とする一回限りの購買で稼いできた企業は、人々をマスとしてとらえ、浪費と消費欲を肥大化させてきました。一方で、「共有」が基盤となるメッシュ・ビジネスに取り組む企業は、場やコミュニティを提供し、そこで繰り返される取引を収益の源泉としています。これにより、個々の顧客と長期的な関係を築く機会を手にします。所有から共有、メッシュへの流れはビジネス・モデルの大転換をもたらします。

 現在、欧米では、インターネットを介して個人間で自家用車を気軽にマイクロ(小口)リースできるP2Pのカーシェアリングが英ウィップカー(Whipcar)など6カ国で10社以上もあります。P2Pのモデルはさまざまな分野で模索され、具体的には、米キックスターター(Kickstarter)などのクラウドソースファンディング(優れたアイデアに対して無数の個人が少額を出資できる)のほか、欧米で一般的になりつつあるバケーションルームレンタル(不在時の短期自宅貸出)、オフィススペースシェア、個人間の少額事業融資は、日本でも立ち上がっています。

メッシュ発想を再生戦略の中核に

 大震災という体験を経て、安全な食料の確保や電力、輸送をはじめ各種社会インフラの再構築に取り組む日本が、所有という概念を超えたところで、モノやサービスを利用し、個々人の力をフルに活用すれば、可能性が広がると私は確信します。

 米国の同時多発テロ事件後もそうでしたが、災害を体験すると、多くの人は人間が本来的に持つ互助の精神を取り戻す傾向があります。加えて、インターネットの普及を背景にした個の台頭は日本でも同様でしょう。

 共有への思いを持った個々人が物理的制約を超えて、さまざまな活動に参加できれば、大震災の復興という局面において多大なるメリットをもたらすのではないでしょうか?

 何らかのモノが欲しい、足りない場合、モノへのアクセスを可能にする新しいプラットホームを構想して即座に具現化し、顧客は使用への対価だけを負担する。所有にコストとエネルギーを要するモノは共有し、希少な資源を繰り返し使用すれば、社会を無駄の少ない持続可能な環境に変えることができます。メッシュは、日本を次世代の循環型システムへとバージョンアップする中核的な戦略となることでしょう。

メッシュを成功に導くカギ

 企業、地方自治体、政府は、次に挙げるメッシュ成功へのカギを踏まえて、素早く手を打つこと。必ずやその動きは加速するはずです。

1.メッシュ優遇政策―― 政府が、持たざるサービスやシェア型ビジネスに対する税制優遇を促し、シェアリングサービス提供者、利用者の双方を利する政策を提示すれば、新しい戦略の達成、パートナーシップが早まる。
2.パートナーシップ―― 他とのつながり、連携、コラボレーションは、メッシュの中核。各国の企業や地方自治体が、所有データやモノをシェアリングによって公開する例は少なくない。
3.プラットホームづくり―― ソーシャルネットワークやツイッター(Twitter)、ペイパル(Paypal=少額ネット決済)、スカイプ(ネット電話)の普及により、才能ある人たちがこうしたプラットホームの周辺で次のサービスを生む。都市もプラットホームであり、住民が根づき、刺激を受け、連携してアイデアを生み、育てる。都市に魅力的なメッシュのプラットホームをつくり、ゆるやかなガイドラインとインタフェースを用意できれば、起業家やクリエイター、教育者、政府関係者が集いやすくなり、創造的なコラボレーションが進む。
4.素早い実験と失敗の共有―― 共有という新しい入り口にいるわれわれは、来し方行く末を把握し、よく学び、耳を澄まし、考えを洗練させて成長する必要がある。考えが完全無欠になるまで待たないこと。誰かが何かを始めてすぐ失敗しても、それは、次につながるひとつの貴重な学びとなる。他の人が同じ過ちを繰り返さずにすむように、失敗情報を共有すればよい。

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