• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

財政難の米国、災害復興もままならず

連邦も地方も無い袖は振れず

  • 安井 明彦

バックナンバー

2011年6月23日(木)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 日本では東日本大震災の復興支援による財政への影響が心配されているが、太平洋を挟んだ米国でも災害復興に関する財政負担は頭の痛い問題だ。

 今年の米国では、例年にも増して自然災害が猛威を振るっている。4月から5月にかけては各地で竜巻が大量に発生。4月の竜巻発生件数(875件)は史上最多を記録し、犠牲者数は361人にものぼった。このうち321人が4月25~28日の大量発生の時期に集中している。

災害復興費用に年平均87億ドル

 5月22日にミズーリ州のジョプリンを襲った竜巻では、これまでに150人を超える犠牲者が出たと言われ、米国で近代的な気象観測システムが整備された1950年以降では、最も犠牲者の多い単一の竜巻となった。このほか、5月にはミシシッピ川で大規模な洪水が発生しており、広範な地域で農地などへの被害が懸念されている。

 地球温暖化問題との関連があるかどうかは別にして、最近の米国では大規模な自然災害が増加傾向にある。FEMA(米連邦緊急事態管理局)によれば、昨年連邦政府が指定した「激甚災害」は81件。同局に統計がある53年以来で最多となった。年平均で見た激甚災害数は81~90年の25件から1991~2000年の47件、さらには2001~2010年の60件へと着実に増加している。

 災害の増加に歩調を合わせるように、連邦政府の財政負担も膨らんでいる。2010年度に連邦政府が用意した災害復興費用は67億ドル(約5400億円)。2001~2010年度の期間では、年平均で87億ドル(約7000億円)の災害復興費用が発生している。

 ハリケーン・カトリーナの影響でFEMAの復興基金だけに限っても430億ドル(約3兆4000億円)という莫大な復興費用が必要となった2005年を除いても、この期間の年平均復興費用は47億ドル(約3800億円)。1991~2000年度の年平均29億ドル(約2300億円)の1.6倍を記録している。

財政赤字の深刻化で聖域が崩れる

 米国は災害復興費用を特別扱いする傾向があり、財政赤字の増加を度外視して補正予算が組まれる場合が多かった。しかし、ここにきての財政再建機運の高まりは、いわば「聖域」だった災害復興費用にも影響を与えている。

 米国では財政再建に向けた議論が活発化している。国債に設けられている発行上限を引き上げるにあたって、今夏までに財政赤字削減策を策定する方向で議論が進んでいる。

 こうした中、激甚災害に関する復興費用といえども厳しい目が向けられるようになっている。具体的にはほかの予算項目での歳出削減を並行して実施することによって、財政赤字の拡大を防ぐことが検討されている。手始めに下院で議論された10億ドル(約800億円)の復興費用の上積みは、2009年に成立した景気対策のうち未使用となっている次世代自動車の開発補助金を振り向けることを想定した。

 財政再建機運の高まりによって、災害復興費用に関する論点はその安易な利用に対する批判から、機動的な運用が難しくなることへの懸念に重点が移っている。

 これまで、復興費用に関する補正予算は財政規律を損ねる「抜け穴」として問題視されてきた。復興費用が聖域扱いされてきたために、安易に補正予算が組まれる傾向があったからだ。

コメント1

「Money Globe- from NY(安井 明彦)」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

トランプ政権のここまでの動きはスロー。

ジョセフ・ナイ 米ハーバード大学特別功労教授