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「経済は成長しない」が常態だった

経済史家が実証した「成長しない資本主義」

  • 萱野 稔人

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2011年6月30日(木)

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 私たちにとって経済成長という現象は、経済を考えるうえでほとんど前提となっている概念だ。経済は成長するものだし、成長すべきものである、という観念はとても根強い。

 その一方で、バブル経済が崩壊して以降の日本経済はほとんど成長していない。長く続く低成長やゼロ成長の現実をまえに、日本はすでに「脱成長社会」に突入した、という議論も様々なところでなされている。

 果たして、私たちは今後も経済成長をめざすべきなのか、それとも脱成長社会に見合った経済システムを模索すべきなのか。これは非常に大きな問題であり、解答を見出すことは容易ではない。しかし、東日本大震災によって日本経済復興のための根本的な施策が必要とされている現在、決して避けることのできない問題でもあるだろう。

米国を組み込んでも世界経済は成長しなかった

 経済成長の問題を考えるにあたって、アンガス・マディソン著『経済統計で見る世界経済2000年史』は無視できない重要性をもつ(邦訳は残念ながら品切れ、出版社にはぜひ再版をお願いしたい)。この本はタイトルにもあるように、世界経済の歴史的変化を2000年という長期的なスパンで、客観的なデータにもとづいて実証している。

 それによると、紀元1世紀から19世紀初頭まで、1人当たりの所得でみた世界経済はほとんど成長していない。つまり、世界経済が「成長」といえる現象を示しはじめたのはたかだかこの200年ほどのことにすぎず、私たちが思っている以上に経済成長という現象は人類にとって新しいものなのだ。長期的な視点に立てば、経済というのは成長しないのが常態なのであり、私たちが当たり前だと思っている成長経済の方が例外なのである。

 では、何が人類社会に経済成長をもたらしたのだろうか。

 これについては、マディソンが析出した経済成長の開始時期が、15~16世紀における資本主義の成立時期と決して一致していないことに注意すべきだろう。16世紀になって新大陸アメリカが世界経済に組み込まれても、そこには変化はなかった。つまり、資本主義という経済システムそのものが経済成長をもたらしたのではない。「成長しない資本主義」というものも現実的にはあり得るのである。

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