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「被災企業の社債や株式を買う」という支援

  • 松尾 絹代

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2011年7月12日(火)

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 2011年3月11日に発生した東日本大震災(以下「大震災」という)。被災された皆さまには心よりお見舞いを申し上げます。また、一日も早い復興を切にお祈りいたしております。

財務諸表は会社の鏡

 2011年5月13日金曜日、今年も例年通り3月決算会社の決算発表のピークが終わりました。この事実を知った時、私は驚きと感動を覚えました。たかが決算発表かもしれません。しかしそれは、日本の会社の素晴らしさと復興にかける一人ひとりのエネルギーを確信させる出来事だったのです。

 私は公認会計士、会計のプロフェッショナルです。会社が経済活動を行い、それを数字として世間に公表する時、私たちの仕事が発生します。会社という存在が日本経済を回している実感をこれまでにたくさん経験し、ある意味その会社のパートナーとなれる仕事を誇りに思っています。日本中の会社から復興にかけるエネルギーを感じた時、「大震災の前に会計士は無力なのか」との思いは吹き飛び、できることがあることに気付かされました。

 かつてアナウンサーから会社員という立場に転じた時、会社という存在はあまりに大きく、つかみどころのない存在で、それが非常にもどかしく感じられました。会社の一員である自分が、全体のどの部分の歯車であるのかさえ見えない。焦りを感じることもありました。

 その後、数字を通して会社全体を見たいとの思いで公認会計士になり、財務諸表を読めるようになった今は違います。財務諸表は一見すると単なる数字の羅列ですが、一つひとつ意味を持った「生きた」数字が並んでいることが分かるようになった時、財務諸表が会社全体を映す鏡であることが理解できたのです。

財務諸表で復興支援を

 その経験を踏まえ、こんな時だからこそ、少しでも多くの人に財務諸表に親しんでもらいたいと思うのです。財務諸表を読むことは、社会貢献につながるひとつの手段です、というと奇異に聞こえるかもしれません。しかし、被災地の復興、日本の復興のためには日本経済を回し続けなければなりません。

 義援金・支援金の拠出も復興のための一つの手段です。同じように、被災企業およびその関連会社の発行する株式や社債を購入するという行為も、現時点ですぐにできる支援活動です。被災した多くの日本企業に投資という形で資金を流す。この時、役に立つのが財務諸表です。

 財務諸表という鏡は会社の姿をリアルに映します。被災の傷の具合、回復の具合、少しなじんでくれば、会社の今後を推測することもできるツールとなります。財務諸表を通じ、自分なりに社会的意義を感じる会社、あるいは関心の持てる会社を見つけ、その株式または社債を購入する。これは自らの意思を反映した立派な社会貢献ではないでしょうか。

 公認会計士はインサイダー取引などの理由から、投資は厳しく制限されます。私ができるのは、会社を応援しようとする方に、財務諸表に触れてみるきっかけを提供することです。今、手を差し伸べれば、会社が伸びる姿を見守っていける可能性があります。それだけでなく、将来は投資額以上のリターンが望める可能性もあるのです。それはWin-Winの関係ではないでしょうか。

株式市場に吹く逆風

 東京商工リサーチの調べによれば、東日本大震災の関連倒産は6月末で173社に達したそうです。また、帝国データバンクの調べでは、岩手、宮城、福島3県で営業不能に陥っている会社は倒産件数の約70倍とあり、まさに待ったなしの状況です。

 4月、5月に前月比、前年同月比ともマイナスを記録した東京証券取引所の株式売買高は、祝日のない6月にやや持ち直しましたが、一貫して株式売買高の一日平均は減少を続けています(下の表を参照)。復興のための資金需要へどう対応するか、という国家的な政策もまだ十分ではない中、株式の動きも企業にとって順風とはなっていないのです。

決算どころじゃないからこそ決算だった

 そんな逆風の中、例年通りに行われた決算発表。日本経済全体を考えた場合、とても決算どころじゃない状況だったからこそ、決算だったのです。実際は東北地方を中心に決算発表を遅らせた会社もあり、最終的にすべての決算発表が終了したのは6月17日でした。しかし、全体としての決算発表のピークは変わらなかった。その背景を、そもそも決算発表は誰のために行われるのか、というところから考えてみます。

 会社には大勢の利害関係者がいます。決算発表は、その中でも第一に投資家のために行われます。会社の株式に投資している株主、会社の発行する社債を購入している社債権者。この方々が「現在の」会社の投資家です。決算発表が想定する投資家は、それだけではありません。これからその会社の株式や社債を買おうとしている「未来の」投資家も決算発表の対象です。

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