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ガレキ処理はもっとスピードアップできる

国直轄処理は遅れている復興の逆転打になるか?

2011年7月15日(金)

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 災害廃棄物の撤去を市町村に代わって国が行うことができるようにする「ガレキ特措法」を自民党など野党が7月1日に共同提案し、与党民主党もこれを丸飲みする法案を8日に閣議決定して、開催中の国会に提出することになった。6月初めに廃案になったばかりの災害廃棄物の国直轄処理が1カ月もしないで復活した形だ。

 ガレキ処理の遅れが復興の遅れにつながっているとの見方も出始めているおりから、はたして国直轄処理は逆転の一打になるのだろうか。

撤去の遅れが目立つ石巻市

 被害が大きかった東北地方の沿岸部37市町村の災害廃棄物発生量は6月27日現在の環境省集計で2183万トン、仮置場への撤去率は32%となっている。1カ月あたり約10%ずつ進捗しているので、このペースでいけば約1年で仮置場への搬入を終えることになる。

 県別には岩手県(発生量446万トン、撤去率47%、以下同じ)、宮城県(1509万トン、29%)、福島県(228万トン、23%)で、福島県の遅れが目立っている。

 市町村別には発生量の多い順に石巻市(616万トン、14%)、東松島市(166万トン、21%)、気仙沼市(137万トン、44%)、仙台市(135万トン、18%)、いわき市(88万トン、30%)、陸前高田市(87万トン、27%)、宮古市(86万トン、42%)、亘理町(81万トン、71%)、釜石市(76万トン、26%)、大船渡市(76万トン、44%)となっている。この上位10市町村で発生量の7割をしめており、撤去率は平均より6ポイント低い26%である。

 岩手県北部の田野畑村など5市町村では撤去率100%、福島県の双葉町など5市町村では放射能汚染のために撤去率0%であり、市町村の撤去率には大きな格差が生じている。中でも、最大被災地の石巻市の遅れが目立っている。

狭い仮置き場に高く積み上げられた廃棄物

 撤去が進むにつれ、仮置場の不足や、仮置場の管理状況の悪化が問題になり始めている。
 
 仮置場の飽和状況を数値化してみるため、市町村ごとの撤去量を仮置場面積で除して平均保管高を算出すると、6月27日現在で名取市(53万トン、91%)が5.6メートル、田野畑村(14万トン、100%)が5.1メートルと、2市村ではすでに5メートルを超えている。実際の保管高はその2~3倍以上になっていると考えられるので、保管高は10~15メートル以上ということになる。平均保管高が2.5メートルを超えているのは8市町村で、撤去率は平均の2倍の60%である。撤去が進んだ市町村では狭い仮置場に災害廃棄物を高く積み上げている状況がうかがえる。

 仮置場の面積をこれ以上増やさずに100%撤去した場合、放射能避難地区の5市町村を除く3県のすべての仮置場の平均保管高は約4メートルになる。七里ガ浜町(33万トン、42%)と女川町(44万トン、32%)は10メートルを超えてしまい、実際保管高は20~30メートル以上となってしまう。

画像のクリックで拡大表示

自然発火すれば有害ガスを発生し長時間燃え続けることに

 自然発火による火災の危険を回避するには保管高を5メートル以下にする必要があるので、安全性を確保しながら撤去を進めるには仮置場面積を平均して現在の2倍にしなければならない。

 現在保管中の災害廃棄物ですでに何件かボヤが報告されており、温度上昇、一酸化炭素濃度上昇、酸素濃度低下など、大規模火災の前触れの現象も観測されている。保管期間が長期化すれば温度上昇が続き、火災の危険が高まっていく。

 千葉県の大規模不法投棄現場火災の経験からは、廃棄物の温度が60度(表面から1メートル下)、一酸化炭素濃度が50PPMを超えたらイエローゾーン、70度、100PPMではレッドゾーンである。いったん仮置場で火災が発生したら放水しても消えず、塩化水素、二酸化硫黄、一酸化炭素などの有害ガスを大量に発生しながら長時間燃え続ける。火災発生を防止するためには、保管高などの基準を守ることと、長期間保管しないことが大切である。

 ガレキとは別に津波によって海から運ばれたヘドロが岩手県から茨城県までの4県合計で最大1600万トン堆積していると推定されている。この撤去はまだほとんど進んでいない。

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「ガレキ処理はもっとスピードアップできる」の著者

石渡 正佳

石渡 正佳(いしわた・まさよし)

千葉県県土整備部用地課土地取引調査室長

1958年千葉県生まれ。産廃Gメン時代に出版した『産廃コネクション』(2002年)が2003年「日経BP・BizTech図書賞」を受賞した。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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