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「通貨戦争」停戦はいつまで続くのか

政策判断が「景気とインフレ」の両睨みに

2011年7月21日(木)

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 今月初め、久々に「通貨戦争(currency war)」という言葉を耳にした。ブラジルのマンテガ財務相が、英フィナンシャル・タイムズ紙のインタビューに応えて、「通貨戦争はまだ終わっていない」と発言したのだ。

 外国為替市場に「流行語大賞」があるとすれば、「通貨戦争」は2010年の大賞に輝いていたに違いない。受賞者は、ほかでもない、ブラジルのマンテガ財務相である。フィナンシャル・タイムズは昨年9月28日のトップ記事で、「我々は国際的な通貨引き下げ競争(international currency war)の真っ只中にある」と言い切ったマンテガ財務相の発言を引用。それ以降、「通貨戦争」は広く口端に上るようになったからだ。

 それから約10カ月が過ぎた。最近では「通貨戦争」という言葉は、あまり聞かれなくなっている。マンテガ財務相はそうした状況を懸念し、再びその言葉を持ち出したのだ。

 なぜ、「通貨戦争」が下火になっているのか。それを考える前に、まず、そもそも「通貨戦争」とは何だったか、振り返ってみよう。

新興国と先進国の対立を煽った「通貨戦争」

 「通貨戦争」とは、一言でいえば、「通貨金融政策をめぐる新興国と先進国の利害対立」だ。通貨動向の2極化、つまり、中国やブラジルなど新興国の通貨高と、先進7カ国(G7)を中心とする先進国の通貨安が長期化し、両者間で通貨政策の対立が先鋭化したことを表す言葉として定着していった。

 具体的には、中国などの新興国が「米国は無責任な金融緩和で通貨安競争を煽っている」と先進国批判を強め、これに対し、米国を中心とするG7諸国は、「中国など新興国は柔軟な為替相場を容認すべき」と主張していた。さらに、昨年10月に開催された20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議では、「通貨安競争回避」の文言が声明に盛り込まれるなど、国際金融当局のアジェンダに“昇格”もしている。

欧州新興国ではトルコが「参戦」

 筆者がカバーしている欧州でも、この通貨戦争に「参戦」した新興国がある。その代表的な国が、トルコだ。

 GDP(国内総生産)と人口が大きいトルコは、ロシアと並びEMEA(欧州・中東・アフリカ)経済の牽引役となっている。リーマンショック後の世界経済の後退からも、見事なV字型回復を遂げた。その結果、昨年後半は高成長、高金利のトルコに対する投機的な資金流入が急拡大し、通貨リラが対ドルで顕著に上昇する展開となった。

 こうした状況に対し、トルコの中央銀行は、「政策金利引き下げ」と「リラ売り介入」を実施した。金利引き下げの目的は、過剰資本流入の抑制、すなわち、高リターンを追求する海外投資家のインセンティブを削ぎ、投機的資金の取り入れを抑制することだった。昨年12月以降、2カ月連続で政策金利は合計0.75%(7.00%→6.25%)も引き下げられている。

 また、為替介入については、あくまで外貨準備の増強策という建前がありながら、通貨リラの上昇を抑制するために、自国通貨売りの介入を昨年12月以降断続的に実施した。こうして、利下げと介入という「戦法」が打ち出された時期を境に、リラは下落に転じていった。

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「「通貨戦争」停戦はいつまで続くのか」の著者

武田 紀久子

武田 紀久子(たけだ・きくこ)

国際通貨研究所 経済調査部上席研究員

1989年、東京銀行(現三菱東京UFJ銀行)入社以来、一貫して市場関連業務に従事。1999年、為替アナリスト班立ち上げメンバーに。以降、マーケット・エコノミストとしての活動を続けている。2015年10月より国際通貨研究所へ出向。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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