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「再生可能エネルギーで経済成長」は楽観論

エネルギーの「質」が足りない

  • 萱野 稔人

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2011年7月28日(木)

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 今回も前回にひきつづき、エネルギーと経済成長の関係について考えよう。今回のテーマは、太陽光や風力といった再生可能エネルギーの活用は今後どこまで経済成長をもたらしうるか、というものだ。

再生可能エネルギーでは、過度な成長期待はできない

 福島第1原子力発電所事故を受けて、日本でも「原子力から再生可能エネルギーへの転換を」ということが熱心に議論されるようになった。その議論のなかではしばしば、再生可能エネルギーへの転換によって新たな経済成長がもたらされる、と主張される。問題は、その主張がどこまで妥当なものかということだ。

 たしかに再生可能エネルギーへの転換が、それを基軸とした新たな成長産業を生みだすことはまちがいないだろう。高度なコンピュータシステムによって電力需給を管理するスマートグリッドや蓄電池の分野はその代表例である。

 太陽光や風力といった再生可能エネルギーによる発電は、個々のレベルでは小規模で、出力も不安定なものにならざるをえない。したがって、その普及のためには、多数の小規模電源を多方向的にむすびつけた水平分散型の電力供給システムが構築されなくてはならない。そのときに電力需給を安定的に制御するために必要とされるのがスマートグリッドや蓄電池の技術である。つまり、新たなエネルギーの活用が新たな技術を要請し、それによって新たな経済領域が開拓されるのだ。そこでは、「クリーン」なエネルギーが情報通信などの「スマート」な技術と融合する新しい領野が拓かれるのである。

 実際、その動きはすでに始まっている。たとえば、今年7月に、情報通信大手ソフトバンクの孫正義社長が脱原発と再生可能エネルギーの普及・拡大を掲げて、35道府県と「自然エネルギー協議会」を設立したのは、その動きの一端だ。

 また今年4月から5月にかけて、トヨタ自動車がマイクロソフトやセールスフォース・ドットコム(企業向けクラウドコンピューティング専業では米最大手)と業務提携することを発表したのも、同じ流れのなかにある。そこにあるのは、蓄電池としての機能をもつ電気自動車やプラグインハイブリッド自動車を情報通信網でつなぐことで、電力の効率的な供給を可能にする社会基盤を整備しよう、という壮大な構想だ。

 私は、こうした動きによって成長産業が生みだされ、再生可能エネルギーの利用が拡大していくのは基本的に望ましいことだと思う。とはいえ、その動きがかつてのような経済成長を再びもたらすかといえば、その可能性はかぎりなく低いといわざるをえない。

 たしかに再生可能エネルギーの活用は新たな技術を要請し、それによって新たな成長産業を生みだすだろう。さらには、それが日本の成長戦略の中核を担う新たな輸出産業になることだってあるかもしれない。しかしそれが、化石燃料によってもたらされたエネルギー革命と同じような生産拡大の効果を人類社会にもたらすかどうかは、また別の問題である。成長産業が生まれることと、経済成長(それは生産拡大をともなうものだ)がもたらされることとは、まったく異なる次元の話なのだ。

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