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固定資産廃棄損という「過去」から会社の未来は描ける?

減価償却の視点を忘れないで

  • 松尾 絹代

バックナンバー

2011年8月9日(火)

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 「財務諸表を読んで復興支援!」も第3回となりました。読者の皆さまには大変感謝しております。また、読者の皆さまからいただくコメントは、批判的なものも含め大変勉強になります。復興のために(復旧ではなく、復興です)、微力ながらできることを増やしていきたいと思っていますので、今後とも、忌憚のないコメントをいただければ幸いです。

 さて、前回は「災害による損失」についてお話をしました。壊れた建物の損失、売り物にならなくなった商品の損失、自宅待機させた従業員への給料までも災害による損失の中に含まれます。今回お話しするのは、より具体的な震災損失の読み方です。一歩踏み込むことで、会社が歩む復興の道が、より具体的に実感できるようになります。

特別損失に現れたもう一つの負担

 本題に入る前に、決算の特別損失には、東日本大震災(以下「大震災」)によるもの以外にもう一つトピックがあります。まずは、ここから始めたいと思います。

 前回述べたように、震災損失を見るのは、損益計算書(PL)。そして、一般的には、特別損失という区分でした。特別損失と震災損失には下の図のような関係がありました。

 特別損失は一つの区分、震災損失は一つの項目ですから、特別損失のほうが、より大きい概念です。特別損失全体の数字を基に大震災を語るのは、被害を過大視することにもなりかねません。特別損失にはもう一つのトピックがあるのです。上場会社約1,500社の財務諸表に現れた「資産除去債務会計基準の適用に伴う影響額」。これが大震災以外の、もう一つの負担です。これは、いったい何を表す項目なのかご説明しましょう。

 例えば、アスベストが使われた建物や、工場排水で汚染された土壌。このような建物や土地を持っている会社は、今すぐではなくても、法律や契約で決められた時期に、アスベストの除去や土壌の浄化をします。これまでの会計ルールでは、例え1億円という巨額な費用であっても、ある日突然、財務諸表に1億円が現れるという不親切なルールでした。つまり、実際に工場を撤去して浄化作業をする時までは、この1億円を財務諸表に記載しなくてもよかったのです。このルールが2011年3月期決算から変更されました。

 将来1億円の浄化費用を払うのは、日々、工場が土壌を汚染するからです。毎日少しずつ1億円の原因をつくっているということが事実なら、それを表現しなければ財務諸表は企業を映す鏡にはなりません。20年間稼働する工場なら、毎年1億円÷20年=500万円分の原因をつくっている。だから、毎年500万円を財務諸表に記載する。新しいルールでは、こう考えます。

 前回の事例、ルネサスエレクトロニクス(以下「ルネサス」)社では、アスベストの除去費用などで「資産除去債務会計基準の適用に伴う影響額」が約15億円計上されました。これは、過去分もまとめた計算額。それを一気に特別損失に計上したのです。

 大震災では、大規模な土地や建物を持つ会社ほど、損傷、消失によってより大きな損失を被りました。新しい会計ルールのインパクトも、大規模な土地や建物を持つ会社ほど大きくなります。つまり、震災損失と会計ルールの変更が損失のダブルパンチとして会社を直撃します。

 震災損失と資産除去債務会計基準の適用による影響額、この二つの損失を財務諸表に記載した会社は500社以上。会計ルールの変更によって、実際にお金を支払うわけではないのですが、損失の金額は決して小さくありません(資産除去債務については、こちらを参考にしてください)。

震災損失の詳しい内訳は有価証券報告書で

 毎年6月の最終営業日の前営業日(今年は6月29日)が株主総会の集中日です。そして同時に、「有価証券報告書」の提出ピーク日となります。有価証券報告書とは、最も詳細な決算書のこと。含まれる財務諸表も最も詳細です。ここで、初めて災害損失の中身が明らかにされました。

 今回もルネサスを例に見てみます。同社の有価証券報告書から、特別損失の項目だけ切り取ったものが次の表です。

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