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経常収支不均衡問題が引き起こす再びの「バブル」

国際収支を巡る議論 現状編 その4

2011年8月3日(水)

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 震災後の日本の経済社会論議を見ていると大変気になることがある。それは、政策的関心の行方が国内問題に偏しており、国際的な視点を忘れがちになっていることだ。菅総理が高らかに打ち上げた「第3の開国」も、震災でどこかに吹っ飛んでしまった。TPP(環太平洋経済連携協定)参加問題もあっさり先送りされた。

 国内で何か大きな問題が起きたときに、一般国民、マスコミの関心がそちらに集中することはやむを得ない。新聞の紙面もテレビの時間も限られた枠があるのだから、特定の問題にスペースを割けば、他の問題が押し出されてしまい、扱いが小さくなるのは当然である。

 しかし、経済問題に一定の枠はない。新しく大きな問題が出てきたからといって、従来から存在した問題の重要性が低下するわけではない。プロである政策当事者は、脚光を浴びるか否かに関係なく、重要な課題を常に意識し続ける必要がある。

 やや愚痴になるが、この点では、自民党政権時代に存在していた経済財政諮問会議が機能停止状態になっているのはまことに残念である。諮問会議では、政治のトップと経済の専門家、経済界の代表がその時点での経済政策のアジェンダ(論点)を論じ、毎年「骨太方針」を出していたからだ。諮問会議で議論していれば、政治家だけで決めるよりはずっとバランスの取れた問題意識を持つことができたはずである。

 日本が震災の対応に追われている間にも、世界経済は動き続けており、日本もその渦中にあることは全く同じである。これまでせっかく日本の経常収支問題を考えてきたので、今回は世界的な課題の一つとして、世界的な経常収支不均衡問題について考えてみたい。

グローバルインバランス問題とは何か

 世界的な視野で見た経常収支不均衡問題は「グローバルインバランス問題」と呼ばれている。世界全体の経常収支は合計するとゼロになるのだが、個々には赤字国と黒字国が存在する。この国々が固定化し、黒字国の黒字、赤字国の赤字が拡大していくと、世界的な経常収支の不均衡が拡大していくことになる。

 それがなぜ問題なのか。この連載でも説明したように、経常収支と資本収支は符号が逆で等しいという関係がある。同じことだが、経常収支黒字国は資金余剰国で、自国の資金が海外に流出しており、逆に赤字国は資金不足国で、海外から資金が流入してきている国である。すると、経常収支黒字国、赤字国それぞれで黒字・赤字の規模が拡大すればするほど、国際的な資金移動も活発化することになる。

 国際的に危惧されているのは、この資金移動がバブルを生む可能性があるということだ。その実例となったのが、2007年春以降のサブプライム危機であった。このサブプライム危機は、多くの要因が重なって生まれたものだが、その背景にあったのが長期金利の低下と住宅価格の上昇であり、そのまた背景にあったのがグローバルインバランスなのである。

 サブプライム危機前の世界の経常収支を見ると、大口の黒字国としては、産油国と新興国があった。一方、欧米先進国は全体としては赤字であった。すると、これら大口経常収支黒字国から赤字国に大規模な資本移動が起きることになる。

 産油国、新興国が稼ぎ出した経常黒字は、資本流出となって先進国に流れ込んだ。内閣府「世界経済の潮流 2011年5月、第1章 第2節 2.(1)」によると、世界全体で民間および政府が発行した債券は、2002年末の約43兆ドルから、2007年末には約80兆ドルに拡大していたという。こうした世界的な資金移動が、長期金利の低下と住宅価格の上昇をもたらしたのである。

金融のプルーデンス政策

 では、バブルを未然に防止するためにはどうしたらよいか。これには金融政策が大きな役割を果たすことになる。

 そもそも金融政策には二つの種類がある。一つは、金利やマネーストック(通貨の供給量)をコントロールすることによって物価の安定を図ったり、経済を活性化することであり、もう一つは、プルーデンス政策といわれるもので、個々の金融機関の行動を規制したり監視したりすることにより、金融機関の経営の安定性を確保するものだ(プルーデンスは「慎重」という意味)。金融機関についてこれが必要になるのは、一つの金融機関が倒産すると、他の金融機関にもそれが波及し、金融システム全体が機能不全に陥ってしまうからだ(これがシステミック・リスクである)。

 では、この二つの金融手段でバブルを防ぐことができるのか。これがサブプライム危機後に問われたことである。

コメント10件コメント/レビュー

物を書かれる前にバブルの定義をしっかりされたほうがよろしいのでは?バブルは「実体経済から乖離して資産価格が一時的に大幅に高騰し、その後急速に資産価格の下落が起こること」、」要するに100万円の「モノ」が1ヵ月後に200万円になっているのが「バブル」で50万円になっているのが「バブルがはじけた状態」ですよね。国債は残念ながら100万円にしかなりません。物価上昇率がおかしな状況になれば実質的価値は変動しますが、金利で判断するのは妥当ではないですね。そして日本の国債は出せば出すほど低金利と言うおかしな状況です。日本の現状の課題はデフレであり、企業の投資意欲が無い事です。民間の借入DIが増加して金利が正常化すれば日本経済はある程度回復してきたと言う事もできます。すなわち日本は国債バブル(笑)を起こしたら日本の政策は成功ですね。筆者は不安を煽って日本をどうしたいのか・・・非常に脅威があるところです。(2011/08/03)

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「経常収支不均衡問題が引き起こす再びの「バブル」」の著者

小峰 隆夫

小峰 隆夫(こみね・たかお)

法政大学大学院政策創造研究科教授

日本経済研究センター理事・研究顧問。1947年生まれ。69年東京大学経済学部卒業、同年経済企画庁入庁。2003年から同大学に移り、08年4月から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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物を書かれる前にバブルの定義をしっかりされたほうがよろしいのでは?バブルは「実体経済から乖離して資産価格が一時的に大幅に高騰し、その後急速に資産価格の下落が起こること」、」要するに100万円の「モノ」が1ヵ月後に200万円になっているのが「バブル」で50万円になっているのが「バブルがはじけた状態」ですよね。国債は残念ながら100万円にしかなりません。物価上昇率がおかしな状況になれば実質的価値は変動しますが、金利で判断するのは妥当ではないですね。そして日本の国債は出せば出すほど低金利と言うおかしな状況です。日本の現状の課題はデフレであり、企業の投資意欲が無い事です。民間の借入DIが増加して金利が正常化すれば日本経済はある程度回復してきたと言う事もできます。すなわち日本は国債バブル(笑)を起こしたら日本の政策は成功ですね。筆者は不安を煽って日本をどうしたいのか・・・非常に脅威があるところです。(2011/08/03)

国債は債券ですから、その価格は、予測金利に対する現在価値ですよね。株価なら、一株利益が半減すれば、株価も半減するということも考えられなくはないですが。(2011/08/03)

文中の1%から2%に金利が上昇した際の国債の値段ですが,半値までには下がらないのではないでしょうか。1年後に元本100万円と利息1万円が返ってくるものとします。100(現在の国債価格)×1.01(元本+1%の利子)=利率上昇後の国債価格×1.02(元本+2%の利子)従って金利上昇後の国債価格は99万円程度になるのではないでしょうか。もし50万円に値下がりしたとすると,1年後に101万円返ってくるので素晴らしい投資機会となる気がします。(2011/08/03)

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