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新総理は「元に戻る」勇気を持とう

弊害をもたらすマニフェストとは一刻も早く決別を

2011年9月5日(月)

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 野田新総理が誕生した。新政権の誕生は、政策の舵を切り替えるめったにないチャンスである。新総理は代表選で自らが選出された後「ノーサイドにしましょう」と述べた。これは、小沢、反小沢という党内の対立を止めようという意味だと考えられるが、私は、これまでの民主党の経済政策運営そのものを「ノーサイド」にし、再出発してほしいと考えている。では政策的な舵取りのどこを改めるべきなのか。日本経済が直面している政策課題を整理しながら、私の考えを述べてみたい。

求められるマニフェストからの決別

 まず求められるのは、マニフェストから決別することだ。民主党が政権を担ってからの数々の失敗は、その元をたどっていくとマニフェストに行き着くことが多いからだ。マニフェストへのこだわりが招いた失敗は、大別すると次の3つになる。

 第1は、無駄の削減で各種政策を実行できるという約束が果たされず、結果的に財政の大赤字を招いたことだ。

 マニフェストでは、子ども手当て、高校無償化、農業の戸別所得補償、ガソリン暫定税率廃止、高速道路無料化など13.2兆円に達する各種大盤振る舞いを公約として掲げ、その財源は「無駄の削減」によって賄えるとしていた。

 おそらく民主党は、国の総予算は200兆円以上もあるのだからから、13.2兆円程度のカネは簡単に出てくると考えたのではないか。その具体的なプロセスがすっかり有名になった「事業仕分け」だったのだが、この結果出てきた財源は数千億に過ぎず、マニフェストで約束した施策の実現には全くの焼け石に水であった。この結果、財政赤字は急拡大した。要するに、マニフェストで示された公約の大部分は借金(赤字国債)によって賄われたということである。

 第2は、官僚を使いこなせなかったことである。民主党のマニフェストを改めて読み直してみると、官僚不信が極めて色濃く流れていることに驚く。マニフェスト冒頭には政権構想の5原則と5策が掲げられているのだが、5原則の第1は「官僚丸投げの政治から、政治主導への政治へ」だし、5策の第1策は「国会議員100人を政府に配置」、第2は「事務次官会議を廃止して、意志決定は政治家で」、第4は「官僚の幹部人事は政治主導で」、第5は「天下りの禁止」だ。「官僚を排除して政治家が物事を決めれば全てうまく行く」といわんばかりである。

 私は自身が官僚出身ということもあり、この官僚排除のマニフェストにかなりの違和感を覚えていた。おそらく民主党は、「官僚は自民党と馴れ合いで、自民党のために仕事をしているのだから、そこを変えればうまく行くだろう」と考えたのではないか。しかし、そもそも官僚は、自民党のために働いていたわけではない。基本的には大臣は時の内閣に所属するものであり、その大臣の指示に従って仕事をすることは民主党政権に変わっても同じである。要するに、自分たちがやってほしいことを官僚に指示すれば良かっただけのことだったのだ。

 それを、マニフェストに従って何でも政治家が決めようとしたため、行政はかなり混乱した。テクノクラートとしての官僚を使わずに素人の政治家が何でも決めようとすれば、行政の効率がガタ落ちするのは自明である。効率の他にも、従来の経緯を踏まえずに新政策を唐突に打ち出したり、各閣僚が閣内の意思統一のないまま発言したりするといった場面も多くみられた。

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「新総理は「元に戻る」勇気を持とう」の著者

小峰 隆夫

小峰 隆夫(こみね・たかお)

法政大学大学院政策創造研究科教授

日本経済研究センター理事・研究顧問。1947年生まれ。69年東京大学経済学部卒業、同年経済企画庁入庁。2003年から同大学に移り、08年4月から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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