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“嫌々ドル買い”が映す金融市場の危機感

“通貨高ババ抜き”で買い進まれた円・フラン

2011年9月15日(木)

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 ユーロ圏ソブリン危機が再び深刻化の兆しを見せ始める中で、為替市場は再び「防御モード」に入っている。今回は、リーマンショック以降の為替市場の動きを参照しつつ、足元の市場環境について考察を加えた。為替市場の値動きに注目するのは、それが金融市場の「今」を映じた最新の指標となり得るからである。

かつて、ユーロとドルは補完関係にあった

 まず、ドルとユーロに関して、各通貨の値動きを相手通貨の貿易ウェイトで加重平均した、通貨の総合的な変動を示す指数である名目実効為替レート(NEER)に注目した。2008年以降の動きを示したのが、以下の図表1である。例えば、ドルのNEERが上昇すれば、ドルは対円や対ユーロだけでなく、対南米通貨など含め総合的にドル高になっていることを示す。

 2008年以降の動きをみると、ドルとユーロはともに下落トレンドをたどっているものの、そのトレンド上で相互に補い合う関係にあったことが分かる。まず、リーマンショック直後は逃避的なドル買いにより為替市場では資金がドルに流れ込んだものの、その後は状況が沈静化するに伴いドル売りが進み、ユーロがその受け皿となった。

受け皿が無くなったユーロ売り

 その後、2009年末に入りユーロ圏でソブリン危機が勃発すると、今度はユーロが自律的に値を下げ、ドルが受け皿となって上昇した。2010年5月には、ギリシャ第1次支援策が打ち出され、および欧州金融安定ファシリティ(EFSF)が設立されるとユーロは反転し、欧州中央銀行(ECB)の利上げも相まって、ドルが再びユーロ買い戻しの主要な相手方となって再び下落した。

 以上のように、2011年春先まではドルとユーロの間には、片方が相手通貨の下落に対する受け皿となる構図が続いてきた。しかし、2011年5月にギリシャの第2次支援を巡る懸念が高まり、ユーロが下落に転じて以降、通常とは異なりドルはその受け皿にはなっていない。

 なぜドルが買われなかったのか。それは、同月に米国の政府債務残高が法廷上限に達したことを米財務省が発表し、その後、大手格付け会社により史上初めて米国債が格下げをされたためである。このため、ユーロを売りたい、しかしドルも売りたいというジレンマに市場は陥った。

“通貨高ババ抜き”で買い進まれた円・フラン

 前述の通り、ドルとユーロは補完的でありながらも総じて見れば下落傾向をたどっている。主要2通貨下落の趨勢的な受け皿となってきたのが円、スイスフラン、あるいは豪ドルであり、こうした通貨のNEERは2009年以降ほぼ一貫して上昇基調をたどった(図表2)。円やスイスフランは安全資産として、豪ドルは利上げや資源国通貨として市場参加者にそれぞれ選好されたのである。

 特にスイスフランについては、前述の米債務上限問題の高まり以降、ユーロ売りの受け皿が見つからない中で加速度的に増価圧力が強まった、遂に、スイスの中央銀行は実質的なユーロとの連動を発表し、1ユーロ=1.2フランとなるまでの無制限のフラン売り介入を発表するに至った。この結果スイスフランは急落しているものの、今度はこのあおりをノルウェー・クローネなど北欧通貨が受けることとなり、現在、これらの通貨の通貨価値が急伸している。

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「“嫌々ドル買い”が映す金融市場の危機感」の著者

吉田 健一郎

吉田 健一郎(よしだ・けんいちろう)

みずほ総合研究所 欧米調査部/市場調査部

1972年東京都生まれ。96年一橋大学商学部卒業、2012年ロンドン大学修士(経済学)。富士銀行(現みずほ銀行)新宿西口支店入行。98年同国際資金為替部にて対顧客為替ディーラー。2004年よりみずほ総合研究所に出向し、08年よりロンドン事務所長。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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