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「災害に負けない社会」を作り出す 新しいキーワード「リジリエンス」とは?

京都大学防災研究所 林春男教授に聞く

  • 熊谷勇一[日経BPコンサルティング]

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2011年10月3日(月)

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東日本大震災以降、注目されている言葉の1つに「リジリエンス(Resilience)」がある。「しなやかさ」とも訳される言葉で、災害に負けない社会の在り方を示すキーワードだ。これを2009年末に提唱したのが書籍『しなやかな社会の創造』。共同執筆者の1人、林春男教授(京都大学防災研究所)に、震災とリジリエンスについて聞いた。

――防災研究という立場からこの『しなやかな社会の創造』の執筆メンバーに加わったとのことですが、まず防災研究がこれまでどのように発展してきたのかを教えてください。

 防災研究は進化し続けており、今は第3世代ぐらいにあると言えるでしょう。第1世代は考え方を簡単に言うと、「起こってしまったらしょうがない、対応をしましょう」という考え方でした。国家に防災を担う専門の組織がなく、既存の危機管理組織を使って対応だけをする。現在でも世界の多くの国では災害対応を軍隊にすべて任せているのです。

 日本はもともと防災への関心が高い国です。特に木造建築が多いこともあって火災が多く、「防災」と「火災対策」が同義に使われることが基本的に多かった。それが1970年代に入って、将来発生が危惧される東海地震への対策が大きな関心を集め、「地震に対する防災」が注目されていったのです。これが第2世代ですね。地震という特定のハザードが確定すると、それに対して社会や組織の弱点も同時にクリアになってくる。その弱点をなくしていこうとする研究です。施設を強くすることに重きが置かれました。

 この考え方が崩れた象徴的な出来事が、2001年9月11日の米国同時多発テロでした。全く予想外の事態に直面したが、それでも社会は対応していかなければならない。社会は予想できない様々なリスクに取り巻かれていて、そのなかで生き残っていかなければいけないことが非常に明確になったのです。

京都大学 防災研究所 教授 林春男氏

 その後SARS(重症急性呼吸器症候群)や新型インフルエンザが起こり、現在では放射能汚染という、予想すらしていなかったリスクに取り巻かれています。そうすると、今までのように「災害に強い」という考え方では、とてもやっていけない。むしろ「災害に負けない」という考え方が重要です。これが第3世代の防災研究です。

――災害・危機発生直後の被害を減らすこと、被害を受けてしまったら素早く回復することの両面の態勢を整えておくことが重要だということですね。

 そうです。もっと言えば、状況の変化に応じてリスクの再評価が必要になってくることも加わります。ある程度外からの力が加わっても同じ形を保とうとすると、やはり無理が出るから、そこをしなやかに変形するなり、かわすなりして、外力を吸収して乗り越えていくのです。

 状況の変化に応じてリスクをいつも再評価しながら、そのなかで非常に重大なリスクについては、被害を出さないような予防対策を加えていく。しかしそれ以外のリスクの推定や予防には限界があるわけだから、それを越えたものについては回復力で乗り切っていく。下の図にあるこうした全体構造のようなものを「リジリエンス」「地域の防災力」「しなやかな社会」と言っています。

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