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「金より安全」スイスフラン騰落のわけ

蔓延する「テール・リスク」過敏症

2011年10月20日(木)

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 スイスフランが激しい騰落劇を演じている。

 欧州債務危機が勃発した2010年以降、じわじわと買い進まれてきたスイスフラン相場は、今夏にその上昇ペースが一段と加速。対ユーロでは7~8月初旬の1カ月間で約20%の大幅続伸となった。ところが、その後はスイス国民銀行(SNB、スイスの中央銀行)が打ち出した通貨高是正策が奏功し、地合いが一変。10月初旬にかけて、ほぼ同率の値幅で急落する荒い値動きになっている。

 筆者は、この騰落劇を説明するキーワードの1つが、「テール・リスク」だと考えている。

「テール・イベント」警戒しリスク回避が進む

 「テール・リスク」や「テール・イベント」という言葉が、最近、頻繁に聞かれるようになった。テール・リスクとは、まれにしか発生しないが、いったん発生するとその影響が極めて大きい事象、及び、そのイベントがもたらすリスクのことだ。

 統計的な正規分布(ベルカーブ)を描いた場合に、中央の“山”の左右にできるベルカーブが薄くなる部分、いわゆる「テール」に位置するイベントがもたらすリスクだ。一般的には、投資家に利益をもたらす「右側のテール」ではなく、多大な損失を与える「左側のテール」を指して使われることが多い。

 テール・リスクへの対応に関心が集まったのは、ほかでもない、2008年に発生した“100年に一度”の金融危機「リーマンショック」以降のこと。特に今年は、「アラブの春」「東日本大震災」、そして「欧米債務危機」と大事件が相次ぎ、統計上、可能性が低いはずのテール・イベントが頻発する「ファット・テール」の状態が続いている。

 荒れ相場が常態化した金融市場では、テール・リスクを想定してヘッジ戦略を提供するファンドも多数組成されている状況だ。こうした市場環境を反映し、外国為替市場では今夏まで、スイスフランが「逃避通貨」として買い進まれ、対主要通貨で軒並み史上最高値を更新する展開となっていったのである。

スイスフランは、なぜ「金より手堅い」のか

 テール・リスクの話を始める前に、まず簡単に、なぜ、スイスフランは安全資産として「金より手堅い」などと言われ、選好されているのか。その構造的なポイントを3つ、挙げておきたい。いずれもキーワードは「安定」である。

(1)バランスの取れた経済構造

 スイス経済の最大の強みは、バランスの取れた産業構造にある。競争力の高い製造業、金融産業に加え、政府の保護が厚い農業、そして、観光業と、産業構造は「4本足」構造だ。多くの小国経済が依るべき成長セクターに極端な偏りがある中で、この重層構造がスイス経済の安定に大きく寄与している。

 欧州連合(EU)には未加盟だが、2001年に発効したスイス・EU協定で両国地域の経済関係が強化されたこともプラスに作用している。こうした好環境に、労働者のスキルが総じて高いことなども加わり、労働市場は非常に柔軟であり、失業率も低位安定が続いている。

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「「金より安全」スイスフラン騰落のわけ」の著者

武田 紀久子

武田 紀久子(たけだ・きくこ)

国際通貨研究所 経済調査部上席研究員

1989年、東京銀行(現三菱東京UFJ銀行)入社以来、一貫して市場関連業務に従事。1999年、為替アナリスト班立ち上げメンバーに。以降、マーケット・エコノミストとしての活動を続けている。2015年10月より国際通貨研究所へ出向。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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