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“白熱授業”で考える食料自給率問題

TPPは亡国の政策か救国の政策か(下)

2011年11月24日(木)

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 前回前々回は、なぜTPPに加入することが重要なのかについての私の考えを述べてきた。今回は、食料自給について考えてみたい。

 TPP(環太平洋経済連携協定)を通じた貿易自由化を生産者サイドから見ると、損をする人(国際競争にさらされて負けてしまう人)も得をする人(輸出が増えて儲ける人)も出てくる。

 しかし、消費者(生活者)サイドから見ると、貿易の自由化で困る人はいない。よって、貿易の自由化への反対論は、この問題を生産者の立場から見たときにのみ出てくる議論だ。

 これが私の単純化した整理なのだが、現実はそうではない。日本では生活者の利益代表であるはずの消費者団体もTPPに反対しているし、一般の人々にも「本当に大丈夫か?」という根強い懸念があるようだ。その一つの理由が「関税が撤廃されて農産物の輸入が増えると、食料自給率が低下してしまう」という不安である。

 私が大学で講義した経験でも「食料自給率をもっと高めるべきだと思うか」と学生に問いかけると、かなりの学生が「イエス」と答える。どうもこの点がTPPを議論する上でも一つのポイントになりそうだ。

 そこで、今回はやや趣向を変えて、大学での学生諸君の議論をそのまま収録するという形で議論を進めてみたい。以下で書いたことは、その議論がそのまま展開されたわけではないという意味ではフィクションである。しかし、一つひとつの議論は、私がこれまで20年以上も教室で議論したり、コメントを集めたりして中で、実際にこの目で見てきたことである。その意味では、以下の議論は本当にあったことである。

第1講 なぜ自給率にこだわるのか

教師:前回の授業では、自由貿易がいかにして国民全体の経済的厚生水準を高めるかを説明しました。しかし、この自由貿易を議論する時必ず議論になるのが、食料自給率の問題です。安い外国産の農産物が入ってくると、国産品が売れなくなり、自給率が下がってしまう。今日はこの点について議論してみてください。

学生A:ではまず私達がどの程度自給率を気にしているのかを調べてみます。「日本の自給率は低すぎる。もっとこれを高めるべきだ」と思う人は挙手してください。……4分の3程度の人が賛成ですね。

学生B:まず、自給率の低いことがなぜ問題なのかを整理したらどうかと思います。

学生C:食料はなくてはならないものなのだから、万が一の時に国内で生産していれば安心ですよ。(多くの学生が同意)

学生B:しかし「万が一」というのは分かったようで分からないですよ。具体的にどんな場合が万が一なんですか?

学生C:戦争が起きて輸入が途絶える場合があるんじゃないですか。

学生B:どこと戦争するんですか? 日本はアメリカやオーストラリアなどから食料を輸入しているけど、将来アメリカやオーストラリアと戦争するんですか?

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「“白熱授業”で考える食料自給率問題」の著者

小峰 隆夫

小峰 隆夫(こみね・たかお)

法政大学大学院政策創造研究科教授

日本経済研究センター理事・研究顧問。1947年生まれ。69年東京大学経済学部卒業、同年経済企画庁入庁。2003年から同大学に移り、08年4月から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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