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「欧州危機でマイナス成長」のシナリオに備えよ

日本経済・世界経済の展望(中)

2012年1月25日(水)

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 前回、全ての経済予測は「条件付き予測」であり、2012年はその「条件」の変化が日本経済全体を左右するだろうと述べた。そして、その条件変化のうち、景気にプラスに作用するのが震災からの復興需要であることは前回述べた。逆に、マイナスに作用する可能性が高いものとして「欧州債務危機」と「日本の財政危機」がある。

 このうち欧州債務危機の方は、いつ急変してもおかしくない、目の前の危機である。日本の財政危機の方は、今すぐ発生することはないだろうが、ミニ危機程度はあるかもしれない。さらに放置していると近い将来大きな危機となって日本経済を襲うだろう。今回は欧州の債務危機について考えよう

標準的な予測の想定

 前回からだいぶ間が空いてしまったし、その間に新しい情報も出てきているので、もう一度2012年の日本経済についての標準的なシナリオを確認しておこう。

 まず政府はどんなシナリオを描いているのか。2011年12月に閣議了解された「平成24年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度」(いわゆる「政府経済見通し」)が想定する成長率(実質)は、2011年度マイナス0.1%、12年度は2.2%となっている。

 民間はどうか。「ESPフォーキャスト調査」(経済企画協会)の最新の結果(2012年1月)によると、成長率予測の平均値は、2011年度マイナス0.3%、12年度1.9%である。いずれも政府よりやや低めだが、それほど決定的な差はない。

 すると12年度については、(1)11年度に比べて成長率は高まり、2%程度となる、(2)景気の回復傾向は続き、震災後の落ち込みは一過性に終わる、というのが現時点での標準シナリオだと言えるだろう。

 何度も繰り返すように、全ての予測は「条件付き予測」である。では、この標準シナリオはどんな条件で予想したものだろうか。ここで重要になるのが欧州債務危機についての想定だ。

 前述の政府の見通しでは、「欧州政府債務危機を主因とする世界の金融資本市場の動揺が、各国政府等の協調した政策努力により安定化し」、それによって「主要国経済は減速から持ち直しに転じていくと期待され」、それが「わが国の輸出や生産にとって望ましい環境をもたらす」としている。前述のように、民間エコノミストの予測は政府よりはやや慎重ではあるが、決定的に違うわけではない。ということは、民間の景気予測もまた「欧州の危機的状況は安定化する」という前提を置いていると考えられる。

 ここが今後の日本の景気を考える上で決定的に重要な点である。

 日本の景気は2010年1月を底として、リーマンショック後の回復軌道を歩んでいた。2010年秋から年初にかけては、世界経済の鈍化で輸出が落ち込み、一時的な踊り場局面を迎えていたが、その輸出も次第に盛り返し、このまま行けば穏やかな景気回復の動きが続いたはずだった。そこに起きたのが3月11日の東日本大震災であり、これによって経済は大きく落ち込んだ。しかし、夏以降、経済は再び立ち直り、何もなければ復興需要の力もあって、景気は引き続き拡大過程を続けることになったはずだ。

 しかし、今度は欧州債務危機というもう一つの外生的変動が現われた。この欧州債務危機は、次の二つのルートで日本の景気にマイナスに作用しつつある。

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「「欧州危機でマイナス成長」のシナリオに備えよ」の著者

小峰 隆夫

小峰 隆夫(こみね・たかお)

法政大学大学院政策創造研究科教授

日本経済研究センター理事・研究顧問。1947年生まれ。69年東京大学経済学部卒業、同年経済企画庁入庁。2003年から同大学に移り、08年4月から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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