「Money Globe ― from London」

ユーロ圏を覆う奇妙な小康

「時間稼ぎ」は続かず危機打開は遠い

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2012年2月8日(水)

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 意外なことに、ユーロ危機に揺れているはずの欧州経済が、金融市場の動向も実体経済も、予想より良好な状況にある。昨年12月8日に、欧州中央銀行(ECB)が3年間の長期資金供給策を無制限に行うことと、オペの適格担保を拡大するという決定をして以降、欧州周辺国の債務危機問題は小康を得ている。年明け後は大手格付け会社が、ユーロ圏諸国の多くの国債格付けを引き下げるなど悪材料が出たにもかかわらず、スペインやイタリアの国債入札は順調で、ドイツなどの中心国と周辺国の国債利回り格差の拡大傾向は、イタリアやスペイン、アイルランドなどについては歯止めがかかっている。

 また、金融機関の資金調達に対するリスクプレミアムも、依然として高水準ながらもピークからは低下し始めている。実体経済の状況も、昨年、筆者が想定していたよりも良好だ。ドイツをはじめユーロ圏主要国の総合企業購買管理者指数(PMI総合指数)は、1月に50.4と景気の拡大縮小の分かれ目である50をわずかながら上回った。2011年10〜12月期にユーロ圏がマイナス成長に陥ったことは確実だが、年明け後は横ばい、ないしは拡大に転じている可能性すらある。

流動性供給策などは「時間稼ぎ」に過ぎない

 ここで、欧州危機が小康状態にある要因を挙げておくと、主に次の3つだ。

(1)ECBによる大量の資金供給
(2)問題を抱えた周辺国で実務家を中心とした新政権が相次ぎ発足し、構造改革が進むとの期待
(3)予想以上に堅調な海外経済が、輸出を通じて欧州経済に恩恵を及ぼしていること

 しかし、これで問題は解決するのだろか。

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著者プロフィール

池田 琢磨(いけだ・たくま)
ノムラ・インターナショナル シニアエコノミスト

池田 琢磨 1990年東京工業大学工学修士課程修了、96年東京大学経済学修士課程修了。野村総合研究所、郵政研究所、野村総合研究所アメリカ、ノムラ・セキュリティーズ・インターナショナルを経て、2007年より現職。Institutional Investor Magazine誌の2010年欧州経済調査部門で2位にランク された。



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環境、会計など様々な分野で影響力を誇示する欧州の経済情勢を、現地の専門家がマクロ、為替、金融政策、M&A(合併・買収)など様々な観点から分析する。

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