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「粉飾気味の措置」で達成した財政健全化目標

日本経済・世界経済の展望(下)~日本の財政危機編その3

2012年3月14日(水)

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 日本の財政はギリシャ以上に深刻な状況にあり、「維持不可能(サステナブルではない)」ということは前回の議論で分かった。では、なぜ日本はギリシャにならずに済んでいるのだろうか。また、その状態をいつまで維持できるのだろうか。

日本がギリシャにならない理由

 数字上はギリシャ以上に財政状況は深刻なのに、日本がギリシャのように国債の償還に困らないのは、市場の参加者が日本の国債を信頼しており、今のところ安心して引き受けてくれるからだ。しかし、これは次のような条件が重なっているからだと考えておいた方がいい。

 第1は、金融機関が貸出先がなくて困っていることだ。日本では経済が低迷気味であることもあって、企業が資金を借りようとしない。設備投資も減価償却費の範囲で足りてしまっている。金融機関も喜んで国債を引き受けているわけではないだろうが、他に運用先がないので、やむを得ず国債を買いまくっているわけだ。

 第2は、経常収支が黒字であることだ。経常収支が黒字であるということは、国内の資金需要が国内の貯蓄で賄われており、むしろ資金が海外に流出していることを意味している。ただし、これは全てを差し引きした後のネットでの話だから、経常収支が黒字であっても、海外の投資家が日本の国債を引き受けることはあり得る(現にある程度は海外の投資家が保有している)。要は、全体として資金が余剰気味であることを示しているということだ。

 なお、2012年1月の日本の経常収支は4373億円の赤字となったが、これには強い季節性があるから、原数値で見るのは適当ではない。季節調整値では1156億円の黒字である。

 第3は、消費税引き上げの余地が大きいことだ。日本の5%という消費税率は、国際的に見てまだまだ低い方である。財務省のウェブサイトに掲載されている「付加価値税率の国際比較」によると、OECD諸国中で日本の税率はカナダと並んで最も低く、20%前後の国が圧倒的に多い。したがって、市場関係者は「消費税を上げれば、財政は改善する」と考え、あまり不安を感じていないのだ。

 第4は、日本よりもっと緊急を要する国(ギリシャ)があるので、日本にまで目が向いていないことだ。とにかくギリシャは、資金繰りに困り、ついに部分的なデフォルト(債務不履行)状態になっている。一方で、国民がデモをして財政再建計画に反対したりしている。誰が見ても心配な状態だ。こんな財政状況の国があったら、日本に注目している余裕はないはずだ。

 しかし、これは「たまたま」そうなっているだけで、まさに「持続可能性がない」と言える。第1の、国内資金需要については、やがて景気が上向いてくれば、資金需要が増えてくる可能性がある。すると、民間の資金需要と国債が競合することになる。

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「「粉飾気味の措置」で達成した財政健全化目標」の著者

小峰 隆夫

小峰 隆夫(こみね・たかお)

法政大学大学院政策創造研究科教授

日本経済研究センター理事・研究顧問。1947年生まれ。69年東京大学経済学部卒業、同年経済企画庁入庁。2003年から同大学に移り、08年4月から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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