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なぜ財政再建は先送りされるのか

日本経済・世界経済の展望(下)~日本の財政危機編その4

2012年3月28日(水)

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 これまでごくオーソドックスな議論に基づいて、日本の財政が維持不可能な深刻な状態にあることを見てきた。1~2回で終わらせるつもりで書き始めたのだが、考え始めると、論じるべき点が次々に出てきて、なかなか終わらなくなってしまった。日本経済にとって重要な問題なので、あと1回だけお付き合いいただきたい。

 日本の財政が極めて深刻な状態にあることは誰もが知っている。ではどうすればいいのか。これも答えは簡単だ。財政が赤字なのだから、歳出を削減するか歳入を増やせばいい。「成長すれば良い」という人もいるが、財政赤字を解消するために成長率を高めることができるくらいなら、誰も苦労はしない。マリー・アントワネットが、食糧難に苦しむ民衆を見て「パンがなければお菓子を食べればいいじゃないの」と言ったようなものだ。

 こうして、答えは分かり切っているのに、財政赤字は解消されないどころか、財政状況は悪化の一途をたどってきた。ということは「どうすればいいのか」という問題よりも、「なぜ財政再建の歩みはかくものろいのか」「なぜ財政再建は先送りされるのか」という問題の方がよほど重要だと思われてくる。

2006年の骨太方針

 この問題を考えるために、財政再建の実例を取り上げよう。それは2006年7月、小泉内閣時代に経済財政諮問会議で決定された「経済財政運営と構造改革に関する基本方針」(いわゆる骨太方針)である。ここで決まったのが表に示したような歳出削減方針である。少し内容を説明しよう。当時の小泉内閣は、2010年度初頭までにプライマリーバランスを黒字化するという目標を立てていた。この目標を実現するための、歳出入改革の姿を示したのがこの表である。

 この表によると、2006年度の一般歳出総額は107.3兆円であり、何もしないで推移するとこれが2011年度には128.2兆円にまで増加すると見込まれている(表の「自然体」)。この歳出を前提にすると、16.5兆円程度財政バランスを改善しないと11年度のプライマリーバランスは黒字にならない(表の「要対応額」)。そこで、各分野で表に示したような歳出削減を行うと、合計14.3~11.4兆円赤字が減る。残りを歳入増で賄うとすると、その額は2.2~5.1兆円となる。つまり、約70~85%が歳出削減、15~30%が歳入増加という割合になっている。

表 2006年7月の骨太方針による歳出削減プラン

 その後しばらくの間は、この方針に基づいて予算編成が行われ、その結果フローの財政赤字のGDP比は低下し、債務残高の名目GDP比も上昇が止まった。しかし残念ながら、この計画は途中でとん挫してしまった。その過程をやや詳しく検討することによって、「なぜ財政再建は難しいのか」を考えてみたい。

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「なぜ財政再建は先送りされるのか」の著者

小峰 隆夫

小峰 隆夫(こみね・たかお)

法政大学大学院政策創造研究科教授

日本経済研究センター理事・研究顧問。1947年生まれ。69年東京大学経済学部卒業、同年経済企画庁入庁。2003年から同大学に移り、08年4月から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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