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ユーロ危機の“沈静化”に新たな試練

フランスとギリシャの「5月6日ダブル選挙」に火種あり

2012年4月19日(木)

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 日本がゴールデンウィークの最終日を迎える5月6日(日)、ユーロ圏では「ギリシャ総選挙」と「フランス大統領選決選投票」の2つの選挙が実施される。欧州債務危機は3月以降、新財政協定の署名やギリシャの債務減免措置の実施、そして、セーフティネット(安全網)の貸出額拡大といった懸案事項で相応の進展があり、最悪期を脱したとの安堵感が広がっている。しかし、この安堵感は、この先も維持されるだろうか。5月6日のダブル選挙は、ユーロ危機の沈静化を占ううえで、最初の試金石となる。

「欧州統合=理想」と「我が身の生活=現実」が衝突

 もとより、経済規模ではユーロ圏域内の国民総生産(GDP)比にして3%にも満たない小国ギリシャと、同GDP比20%を超えるユーロ第2位の大国で欧州の盟主フランスを一様には語れない。しかも、一方のギリシャについては、一部でユーロ離脱の可能性すら取り沙汰されるから、なおさらである。

 しかし、極論すればどちらの選挙も、「欧州統合の深化・拡大」という「理想」と、「生活の維持安定」という「現実」の狭間で、民意が問われる選挙である。債務危機に見舞われたユーロ圏では、すべての加盟国がこの「理想」と「現実」のジレンマに直面しており、ギリシャとフランスのダブル選挙は、欧州の民意を測る上で重要な材料になりそうだ。

 大まかな選挙情勢は後述する通りだが、財政構造改革にイエスかノーか、争点がある意味明快なギリシャ総選挙に対し、フランス大統領選挙は、論争軸がさほど鮮明でない印象が強い。最有力の2候補ともに、濃淡差はあるものの、構造改革の推進や欧州重視を掲げる一方で、生活の維持・安定という現実的な国民の要求にも相当の配慮を示しているためだ。

 金融市場への影響としては、短期的な波乱要因としては、第2次支援の前提条件が覆る可能性のあるギリシャの選挙のインパクトが大きい。その一方、中長期的には、欧州連合(EU)の盟主フランスの内向化、すなわち、統合の深化・拡大という理想から離れてしまうのかどうかが、ポイントとなりそうだ。

ギリシャ選挙は「今後数十年の進路を決める」

 ギリシャの前政権崩壊に伴って、政治家でない首相が選挙プロセスを経ずに危機対応の臨時内閣を組成するという、切羽詰った事情で誕生したのが、現在のルーカス・パデモス暫定政権である。そのため、昨年11月の発足時から、出来るだけ早い段階での総選挙実施が確約されていた。当初2月とされた実施時期については、債務減免措置の確行が最優先だとして先送りにされて、正式日程は今月11日にようやく発表された。

 現在、世論調査でトップを走るのが、パパデモス政権下の連立与党の1つ、新民主主義党(ND)で、今回の選挙ではNDを中心とした政権誕生の可能性が高い。ただし、もう1つの連立与党である全ギリシャ社会主義運動(PASOK)と再び連立を組んでも、過半数を獲得できるかどうかは微妙な状況にある。PASOK、NDともに、支援受け入れのための前提条件である緊縮策に合意していることから、有権者の反発が大きい。

 ギリシャに対する第2次支援の前提として導入された「救済プログラム」では、歳出削減と民営化収入を中心とする財政赤字削減策や、最低賃金の2割削減を含む一連の規制改革が盛り込まれている。これに反対する中小政党に対し、ND・PASOK連立政権が何らかの協力を仰ぐ事態となれば、新政権における財政健全化の実行能力に市場が警戒感を強める可能性が高い。かつてECB副総裁職にあったパパデモス首相は選挙日程を伝える今月11日のテレビ演説で「我々が行なう選択は今後数十年のギリシャの進路を決めるものだ」と理解を呼びかけている。

フランスは「サルコジ対オランド」の一騎打ち

 一方、フランスでは2012年が、5年に一度の大統領選挙年に当たっている。4月22日に行なわれる第1回投票で有効得票の過半数を獲得する候補がいなければ、上位2名による決選投票が5月6日に実施される。今回選挙では、現職保守のニコラ・サルコジ大統領(国民運動連合=UMP)と中道左派のフランソワ・オランド氏(社会党=PS)の一騎打ちとなる展開がほぼ確実視されている。

 オランド氏は、サルコジ政権の不人気に乗じて、序盤から世論調査で首位を走ってきた。しかし、ここへ来て、左派戦線ジャン・リュック・メランション氏の躍進という、同じ左派陣営内での票の奪い合いが生じており、リードが磐石ではなくなっている。その半面、劣勢であったサルコジ大統領は、やはり、同じ右派陣営である国民戦線マリーヌ・ルペン氏の退潮を受けて、支持率を回復中だ。

 今月3日に伝えられたイプソス・ロジカによる世論調査(カッコは前回比)の結果では、サルコジ氏=29.5%(+2.0)、オランド氏=27.5%(-1.0)、メランション氏14.5%=(+1.5)、ルペン氏=14.0%(-2.0)と、サルコジ大統領が第1回投票における支持率で初めてトップ立った。

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「ユーロ危機の“沈静化”に新たな試練」の著者

武田 紀久子

武田 紀久子(たけだ・きくこ)

国際通貨研究所 経済調査部上席研究員

1989年、東京銀行(現三菱東京UFJ銀行)入社以来、一貫して市場関連業務に従事。1999年、為替アナリスト班立ち上げメンバーに。以降、マーケット・エコノミストとしての活動を続けている。2015年10月より国際通貨研究所へ出向。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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