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米国の医療改革法、違憲訴訟の損得勘定

渦巻く政治的思惑と効率化は不可避の現実

  • 安井 明彦

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2012年4月26日(木)

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 米国では、成立から2年を過ぎた医療改革法に関する議論が、にわかに盛り上がっている。6月末までに、連邦最高裁判所が違憲判決を下す可能性が取りざたされているからだ。

にわかに高まった「違憲観測」

 「最高裁は『民主的に選ばれた議会が多数決で可決した法案を覆す』という前例のない措置を行わないと確信している」

 4月2日に米国のバラク・オバマ大統領は、医療改革法の違憲訴訟について、こう発言した。発言の内容とは裏腹に、現職大統領が最高裁で審理中の案件に公に言及するという異例の構図からは、オバマ政権が違憲判決を懸念している気配がうかがえる。

 違憲訴訟の論点は、医療改革法が合衆国憲法で連邦政府に認められた権限を逸脱しているかどうかである。なかでも最大の焦点は、国民に医療保険への加入を義務づけた部分の合憲性だ。「医療保険に加入しない」という国民の選択を制限する権限が、連邦政府にあるのか否かが問われている。

 あわせて、メディケイド(低所得者向けの公的医療保険)を大幅に拡充した部分についても、「これを共同運営する州政府に過大な負担を強制しているのではないか」という点が、最高裁での審理の対象になっている。

 「違憲判決は出ない」という大方の予測が揺らぐきっかけとなったのは、3月末に行われた最高裁での口頭弁論だ。

 3日間にわたった口頭弁論では、保守系の判事を中心に、医療改革法の合憲性を問う厳しい詰問が目立った。改革法を擁護する立場にあるオバマ政権側の答弁が不評だったこともあり、違憲判決の観測がにわかに高まった。政治予想などで先物取引を行うオンライン市場「イントレード」では、口頭審理前には30%台だった違憲判決の確率が、一気に60%台へと上昇している。

オバマ批判の共和党にも弱み

 最高裁を知る人たちにいわせれば、口頭弁論だけで審理結果を予測するのは無理がある。しかし、米国では違憲判決が出た場合の影響がさまざまに議論されているのが現状だ。

 なかでも大きな関心を集めているのは、大統領選挙に関連した政治的な影響である。医療改革法への反論は、2010年11月の議会中間選挙で共和党が躍進した大きな要因のひとつであり、今年11月に投票が行われる大統領選挙でも、共和党の有力候補はこぞって改革法の廃止を公約に掲げてきた。6月末までには明らかになるとみられる最高裁の判断で違憲判決が出れば、有権者の審判が下る前に改革法を巡る論争に決着がついてしまう。

 素直な見方は、違憲判決を共和党への追い風と捉えるものである。「オバマ政権は憲法の枠を超えて政府の権限を拡大させた」と最高裁が認めれば、オバマ政権は代表的な実績を失うだけでなく、共和党による「大きな政府」批判にも弾みがつく。なかでもティー・パーティー運動は、かねてから「憲法の原点に戻るべきだ」と主張してきた経緯があり、最高裁による「お墨付き」によって、オバマ政権への批判に勢いが増そう。

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