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米国版「失われた10年」の予兆か

本業不振で「日本化」進む米銀

2012年7月26日(木)

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 米国の主要銀行4行(JPモルガン・チェース、バンク・オブ・アメリカ、シティグループ、ウェルズ・ファーゴ)の2012年4-6月期決算が出そろった。

 米国経済の減速や欧州債務危機の再燃による市場環境の悪化という逆風にもかかわらず、各行の収益は概ね市場予想を上回る結果となった。そもそも事前の期待値が低かったとの指摘もあるが、収益の水準自体は決して悪くはない。

 実際、デリバティブ取引の失敗で44億ドルもの損失を計上したJPモルガンだが、その巨額損失にも関わらず、純利益は49億6000万ドルと、前年同期(54億3000万ドル)と比べほぼ遜色ない水準を確保した。

 特殊要因で前年同期に大幅赤字に陥ったバンク・オブ・アメリカを除く他の2行も同様だ。ウェルズ・ファーゴに至っては、前年比17.1%増と過去最高益を計上している。

 堅調な結果を受けて、シティのビクラム・パンディット最高経営責任者(CEO)が決算について「厳しい環境下で我々の中核ビジネスは良い結果を残し、堅実なリターンを生み出した」と声明で述べるなど、各CEOからは前向きなコメントが相次いだ。

揺らぐ本業の収益力

 しかし、こうしたCEOの言葉とは裏腹に、経営の視界不良が完全に晴れたとは言い切れない。

 欧州債務問題が引き続き燻ぶっているほか、デリバティブ取引の失敗やロンドン銀行間取引金利(LIBOR)の不正操作疑惑といった一連の不祥事を受けて、当局による規制強化の気運が高まっている。米銀経営者の立場からすると、市場環境や規制動向にいまだ改善の兆しがみられない。

 また、これら外部環境に加え、本業の収益力自体が弱っている点も見逃せない。前述の通り、純利益こそまずまずの結果となったが、中身はほめられたものではない。果敢なコスト削減や貸倒れに備えて積み上げていた引当金からの戻し入れ益など、特殊要因によって押し上げられた部分が大きい。

 事実、銀行の売上高に相当する総収入(純金利収入+非金利収入)は、主要4行合計で、直近ピークの水準をおよそ20%下回っている。金融危機以降、規制強化を先取りする形で自己売買部門による運用制限などを行った。その結果、非金利収入が大きく減少したのは致し方ないとしても、銀行本来の業務である貸出などを通じた純金利収入までが、2010年対比で1割以上減少しており、いまだ回復というには程遠い状況だ。

 しかも、本業の不振は主要行に限った話ではない。米連邦預金保険公社(FDIC)の統計によると、全米ベースでみた純金利収入も、貸出の伸び悩みと利鞘の縮小を反映して、低調な推移が続いている(図1)。

図1 米銀全体の純金利収入

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「米国版「失われた10年」の予兆か」の著者

太田 智之

太田 智之(おおた・ともゆき)

みずほ総研ニューヨーク事務所長

1969年京都府生まれ。95年京都大学大学院農学研究科修了。富士総合研究所(当時)入社。2012年7月より現職。テレビ東京ワールド・ビジネス・サテライトのワールド・マーケットに出演中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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