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侮れない「欧米版TPP」のインパクト

真の狙いは「モノ」より「ルール」の世界輸出

2013年4月17日(水)

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 TPP(環太平洋経済連携協定)を巡る日米の事前協議が大詰めを迎えている。一方、これも多くの読者がご存知の通り、TPPに先行する形で、大西洋を跨ぐFTA(自由貿易協定)交渉も進行中である。EU(欧州連合)と米国の包括的FTA「環大西洋貿易投資パートナーシップ(以下TTIP)」。いわば「欧米版TPP」である。

 今年2月13日、EUのファンロンパイ大統領、バローゾ欧州委員長、そして、米国のオバマ大統領は「TTIP開始に必要な内部手続きを開始する」との声明を連名で発表した。オバマ大統領は、これより1日早い12日に一般教書演説の中でTTIPの交渉開始を宣言。約1カ月後の3月20日には米議会に対し、EUとの交渉入りを正式に通告している。

 2月以前は、作業部会レベルの折衝が難航しているため、欧米FTAは正式交渉に漕ぎ着けられないとの慎重な見方が大半であった。ところが、TTIPを取り巻く情勢は急展開を見ている。当局は「2014年末までの交渉妥結は可能(カーク米通商代表部=USTR代表)」「域内承認を理想的には2年以内に終えたい(デフフト通商担当欧州委員)」としており、実現すれば、規模にして人口8億人、世界のGDP(国内総生産)の約5割、世界貿易量の約3割を占める世界最大級の自由貿易圏が誕生する。

真の目的は「モノの輸出」ではなく「ルールの輸出」

 米国の平均関税は3.5%、EUのそれは5.2%と、両者の関税は、既に低い水準にある。このように関税撤廃による交易上のメリットがさして大きくない、経済規模の大きい先進国間のFTAの目的はどこにあるのか。

 USTRは3月21日付けの米議会宛の書簡で「米EUの関税は既に極めて低く、交渉では非関税障壁の有害なインパクトを軽減することが最大の焦点になる」としている。また、フロマン米大統領補佐官(国際経済担当)は「EUと米国は国際ルールを構築するために協力していく」とコメントしている。

 つまり、以下で確認する通り、TTIPの真の目的は「モノの輸出」というよりも「ルールの輸出」にありそうだ。すなわち、EUと米国が製品規格や安全基準などを共有し、それが世界GDPの半分を占める巨大市場で使われれば、他国企業もこの「欧米ルール」で生産せざるを得なくなり、それがデファクト(事実上)の国際基準となっていく。「ルールの輸出」が新規市場の維持・開拓を可能にし、最終的には「モノの輸出」を向上させる、という目論見だ。

 EUサイドから見たTTIP事情について、「黒田日銀」のひそみにならって、2つの方針転換、2つの背景、そして2つの結論と、以下「2づくし」で整理をしてみたい。

決定的となった多国間通商交渉の形骸化

 EU・米のFTAは2011年11月に作業部会が立ち上がり、調整が進められてきた。その後、EUの総意として、TTIP推進が正式に確認されたのは2012年1月のEUサミットであった。この会議では、債務危機への対応として財政規律強化を目的とする新条約制定の合意がなされたが、それと同時に、危機対策のもう1つの柱である成長戦略も議論され、その一環として通商政策が見直された経緯にある。

 具体的には、独仏が珍しく足並みをそろえ共同提案を提出し、これが雇用・成長戦略の声明の一部として正式採用された。独仏提案の内容は「米国とのFTAを通じて大西洋の通商関係強化に努力するという政治的意思を示すべき」とし、交渉分野として「関税撤廃とサービス、投資、政府調達、規制改革」を挙げている。

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「侮れない「欧米版TPP」のインパクト」の著者

武田 紀久子

武田 紀久子(たけだ・きくこ)

国際通貨研究所 経済調査部上席研究員

1989年、東京銀行(現三菱東京UFJ銀行)入社以来、一貫して市場関連業務に従事。1999年、為替アナリスト班立ち上げメンバーに。以降、マーケット・エコノミストとしての活動を続けている。2015年10月より国際通貨研究所へ出向。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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