• ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
  • 日経BP

意外にも「ユーロが堅調」な本当の理由

円・ドル・ユーロの「3極通貨の再調整」が起きる?

2013年7月18日(木)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 ユーロ圏の経常黒字が拡大している。しかも、それが日本を上回ったとなると、意外に思われる読者も多いかもしれない。

 債務問題と、それによる景気後退に直面するユーロ圏には、符合しづらいイメージだろう。だが、国際通貨基金(IMF)によれば、2012年の経常黒字(以下、全て国内総生産=GDP比)は、ユーロ圏の1.8%に対して日本は1.0%(図1)だった。1999年のユーロ発足以降、最大の黒字規模であり、初めてユーロ圏の経常黒字が日本のそれを上回った。IMFは2018年までの展望として、「ユーロ圏の経常収支は日本以上の規模で黒字計上が続く」と予測している。

図1:日米欧の経常収支
(資料)IMF世界経済見通し(2013年4月)より三菱東京UFJ銀行グローバルマーケットリサーチ作成

 ユーロ圏の経常収支の黒字化、及び、その定着は、以下の2つの理由によるものだ。1つは、債務危機発生国における構造調整の進展、そして2つ目は、ドイツの著しい一人勝ちである。この2つが同時に起きている結果として、外国為替市場におけるユーロ相場の下げ渋りがある。為替相場について、より長期的視点に立てば、円・ドル・ユーロの「3極通貨のリアライメント(再調整)の芽」という見方も可能になりそうだ。

経済危機のスペインが“史上初”の貿易黒字に

 ユーロ圏の「経常黒字」拡大の最大の要因は「貿易黒字」拡大にある。そして、「貿易黒字」が拡大した背景は、「輸入急減」(スペインやポルトガルなど債務危機発生国における構造調整)と、「輸出堅調」(ドイツの一人勝ち)の双方にある。第一義的には、危機発生国における構造調整の進展が、輸入の落ち込みというネガティブな経路で、ユーロ圏全体の経常収支の黒字化に寄与することとなっている。

 財政緊縮一辺倒から、成長促進にも配慮した政策運営にややシフトしたとはいえ、南欧諸国では財政健全化の長期継続が不可避となっている。これが消費者や企業のマインドを慎重にさせ、消費や設備投資を抑制すると同時に、信用悪化と雇用削減が続くなど、経済活動全般に厳しい下押し圧力がかかっている。

 例えばスペインでは、これら構造調整によって需要が著しく落ち込み、輸入の伸び率は、リーマンショック直後の一時期を除けば、ユーロ発足以降で最低水準へ急失速している(図2)。その結果、今年3月には、データが入手可能な1991年以降で“史上初”となる貿易黒字を記録している。

図2:スペインの輸出入の伸び率
(注)前年比伸び率の6カ月平均値
(資料)Ministry of Economy and Competitivenessより三菱東京UFJ銀行グローバルマーケットリサーチ作成

「Money Globe ― from London」のバックナンバー

一覧

「意外にも「ユーロが堅調」な本当の理由」の著者

武田 紀久子

武田 紀久子(たけだ・きくこ)

国際通貨研究所 経済調査部上席研究員

1989年、東京銀行(現三菱東京UFJ銀行)入社以来、一貫して市場関連業務に従事。1999年、為替アナリスト班立ち上げメンバーに。以降、マーケット・エコノミストとしての活動を続けている。2015年10月より国際通貨研究所へ出向。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

日本の経営者は、経験を積んだ事業なら 失敗しないと思い込む傾向がある。

三品 和広 神戸大学教授