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儲かりすぎ?ドイツに批判が集中

経常黒字拡大は「悪」なのか?

2013年12月12日(木)

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 ドイツの経常収支について、黒字の拡大の是非をめぐる議論が白熱している。きっかけは米財務省が10月に発表した半期に一度の為替報告書で、「ドイツのさえない内需拡大と、輸出依存が(マクロ経済の)リバランス(再均衡化)を弱めている。ネットで見た効果は、ユーロ圏だけでなく、世界経済にとってもデフレのバイアスを強める結果となっている」と言及したことだ。

 実際にドイツの経常黒字は2012年には国内総生産(GDP)比7%に達しており、ユーロ圏他国の赤字幅縮小とは対照的に、高水準を維持したままだ(下グラフ参照)。

 これまで、中国への風当たりが強かった同報告書であるが、今回は「2012年のドイツの名目経常黒字は中国よりも大きかった」として、よりドイツを原因とした不均衡拡大を強調した内容となっている。こうした批判に対してドイツ政府は即日反論を発表し、「経常黒字はドイツ経済の高い競争力と、高品質製品に対する世界的な需要を反映したもの」であり、「争点となる言われは無い」と強く反発した。

 米為替報告書自体は、結論の背景についての詳細な説明は行っていない。しかし、何故、ドイツの経常黒字の拡大が、ユーロ圏や世界経済のデフレ圧力に繋がるのか。それは、ドイツの経常黒字の拡大がいわゆる「近隣窮乏化策」である、という批判に基づいている。一国の経常黒字の拡大は、単に競争力拡大の結果なのではなく、国内の生産量と消費量のギャップであり、「足りない需要を海外から輸入している(マーティン・ウルフ、ファイナンシャルタイムズ紙コラムニスト)」という見方が背景にはある。

輸出で儲かりすぎて罰金も

 同時にプリンストン大学のポール・クルーグマン教授らが指摘しているのが、ユーロ圏における経常黒字国と経常赤字国の非対称な経常収支の動きだ。例えばドイツとスペインの経常収支を比較すると、スペインにおいて2007年以降に経常赤字のリバランスが進み、2013年には黒字に転ずる一方、ドイツは同期間にGDP比6~7%近傍の経常黒字を維持したままだ。これは、結局のところユーロ圏内ではなく、海外の需要を奪っているとの意見を生む。世界経済の回復が未だ脆弱で需要が全体として弱い中にあって、こうした輸出ドライブは欧州域内のみならず域外の需要を奪い取り、結果として世界的に、需要が供給能力を下回るマイナス需給ギャップの解消を遅らせ、デフレ圧力に繋がるという指摘である。米財務省の為替報告書が指摘している批判の背景もここにある。

 身内である欧州連合(EU)でも、ドイツの経常黒字拡大への警戒感が強まっている。欧州委員会は、マクロ経済不均衡手続き(MIP)の第1段階である警戒メカニズム報告書(AMR)の中で、ドイツの経常黒字がEU加盟国が守るべき閾値であるGDP比6%を超えていることなどから、第2段階である詳細報告(IDR)に進むことを発表した。MIP自体は3度目の実施となるが、ドイツがIDRに進むのは初めてのことであり、制度自体の実効性を含めてその先行きに大きな注目が集まっている。ここでドイツの経常黒字が欧州の不均衡を助長していると判断されれば、その是正手続きが勧告され、行動計画に従わない場合、最悪のケースでは罰金が課されることになる。

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「儲かりすぎ?ドイツに批判が集中」の著者

吉田 健一郎

吉田 健一郎(よしだ・けんいちろう)

みずほ総合研究所 欧米調査部/市場調査部

1972年東京都生まれ。96年一橋大学商学部卒業、2012年ロンドン大学修士(経済学)。富士銀行(現みずほ銀行)新宿西口支店入行。98年同国際資金為替部にて対顧客為替ディーラー。2004年よりみずほ総合研究所に出向し、08年よりロンドン事務所長。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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