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ユーロ誕生15年、悪しき「多元主義」と決別へ

「決められる中銀」に進化したECBに正念場

2014年1月16日(木)

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 過去数年、欧州は債務危機に瀕してきたが、その間も欧州連合(EU)加盟国やユーロ導入国は粛々と増えている。EUは2013年7月にクロアチアが新たに加盟して28カ国体制へ拡大。ユーロには今年1月、バルト3国の1つであるラトビアが加わり、ユーロ導入国は18カ国へと広がった。

 こうした事実は、債務危機にも関わらず、EUへの信認や求心力が霧散したわけではないことの証といえる。もちろん、拡大そのものは債務危機の終息を意味せず、むしろ、問題解決の困難さを高める方向に作用する可能性すらある。しかし、ほんの18カ月前には崩壊シナリオが取り沙汰された欧州経済通貨同盟(EMU)が、こうして着実に拡大している事実は、欧州の将来にとって、ともあれ、明るいニュースであろう。

是正されるEUの悪しき「多元主義」

 危機に見舞われながらも、こうしてEMUへの信認がまがりなりにも維持された背景を1つ挙げるとすれば、危機を奇貨として、悪しき「多元主義」の是正が進んだことがある。そもそも、多様な価値観を容認、肯定しながら、並立、共存を目指すことは、欧州統合の理念の一部である。EMUは、そうした多元主義をむしろ強味として内包し、発展してきた組織である。

 しかし、「統合の深化・拡大」を目指しながらも、その実は、多元主義、すなわち各国に残る主権に配慮するあまり、各国ごとにバラバラな制度、政策が横行、容認されてきた。結果として、EMUには肝心な時に「決められない」「動けない」制約が蔓延した。債務危機の発生によって、こうした構造欠陥が露呈したわけだが、それが格好の「ウェーク・アップ・コール」となって、悪しき「多元主義」の是正に向けた力学が働くこととなった。

 そうした取り組みの青写真が、体制強化を目指すグランドデザイン「真の経済・通貨同盟の実現に向けた4つの指針(以下「指針」)」であり、下表の通り、EU大統領、欧州委員会委員長、ユーログループ議長、そして、欧州中央銀行(ECB)総裁の4者連名で、2012年6月に発表されている。

EU体制強化に向けたグランドデザイン
1.銀行同盟(金融枠組の統合)
(1) 単一ルールブック策定⇒EU域内で銀行健全性規制を統一化
(2) 単一銀行監督(SSM)⇒2013年10月に法案成立。14年11月にECBによる単一監督体制発足へ
ECBが「銀行包括査定」に着手、3段階の査定結果は14年10月に発表
(3) 単一銀行破綻処理(SRM)⇒目標は14年末だが、破綻処理権限や対象金融機関等、詳細調整中
13年末に基本合意成立⇒期限通りの設立には、14年5月欧州議会選挙前の議会採択が必要
(4) 預金保険制度
2.財政同盟(予算枠組の統合)
3.経済同盟(経済政策の統合)
4.国家連邦(民主政治の正当性と説明責任という統合の進化)
(出所)「真の経済・通貨同盟の実現に向けた4つの指針」 EU大統領、欧州委員会委員長、ユーログループ議長、ECB総裁による共同提案(2012年6月発表)

 この指針は、①銀行同盟=金融枠組の統合、②財政同盟=予算枠組の統合、③経済同盟=経済政策の統合、そして、④国家連邦という4つのステージで構成されており、まずは「銀行同盟」の作り込みを皮切りに、その後段階的に各ステージで「一元化」を推進することで、体制強化を目指す内容となっている。現在、整備が進む単一銀行監督(SSM)や単一破綻処理機構(SRM)は、全て、この指針に沿っての政策対応であり、EMUを巡る今年最大の焦点は、この「銀行同盟」の進捗となろう。

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「ユーロ誕生15年、悪しき「多元主義」と決別へ」の著者

武田 紀久子

武田 紀久子(たけだ・きくこ)

国際通貨研究所 経済調査部上席研究員

1989年、東京銀行(現三菱東京UFJ銀行)入社以来、一貫して市場関連業務に従事。1999年、為替アナリスト班立ち上げメンバーに。以降、マーケット・エコノミストとしての活動を続けている。2015年10月より国際通貨研究所へ出向。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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