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ジョブズ氏が遺した「潔い経営」

2011年10月17日(月)

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 米アップル創業者のスティーブ・ジョブズ氏が亡くなってから10日余り。世界中のメディアの報道ぶりなどを見て、改めて影響力の大きさを実感しました。数あるジョブズ経営の伝説の中で、私が最も凄みを感じているのは、思い切って製品を絞り込む時の潔さです。

 「iPod」「iPhone」「iPad」などの話題の製品を出して一時、時価総額で世界1位に上り詰めたアップルですが、これだけの規模の会社にしては、極端に製品の種類が少ない。恐らく機能やデザインの詳細まで完璧を求めるジョブズ氏にとって、自ら深く関与できない製品を世に送り出すことは耐えられなかったのでしょう。「何をしてきたかと同じくらい、何をしてこなかったかを誇りたい」。ジョブズ氏が遺した名言の1つです。競合の動きを気にして後追い商品ばかり作ってしまい、製品の種類が膨らみがちな日本企業とは対極にある戦略がそこにあります。

 5号連続のシリーズ特集「日経ビジネス版リーダーズバイブル500」。第3弾は「未来を拓くニッポンの100社」です。各種調査で社名が頻出したのがコマツ。コマツと言えば、坂根正弘会長が標榜する「ダントツ経営」で知られます。競合に負けても構わない部分をはっきりさせ、絶対に負けない部分を定めてダントツの商品を作るという考えは、どこかジョブズ氏の手法とも通じるところがあります。

 経営者にとって「どこを捨てても構わない」と言うことは、「どこに注力する」と言うより、はるかに逡巡を伴います。しかし今、その決断が問われているような気がします。

日経ビジネス 2011年10月17日号より

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「ジョブズ氏が遺した「潔い経営」」の著者

山川 龍雄

山川 龍雄(やまかわ・たつお)

日経ビジネス編集委員

「日経ビジネス」で自動車、商社業界などを担当後、2004年から4年間、ニューヨーク支局長。日経新聞出向を経て、東日本大震災直後から2014年3月まで同誌編集長。同年4月から現職。企業トップへの取材を通して、企業経営への提言を続けている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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