「米国ネットの“ざわめき”を聴く」

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2007年7月6日(金)

第14回
ジョブズ氏が指揮する「iPhone狂想曲」は
究極のWOMマーケティングだった

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発売前から行列ができた米国の「iPhone狂想曲」

 今年1月9日の「Macworld」で、米アップル(Apple) CEO(最高経営責任者)のSteve Jobs(スティーブ・ジョブズ)氏が発表した「iPhone」は、「携帯電話・iPod(モバイルメディアプレーヤー)・インターネット接続」という“現代の三種の神器”とも言うべき必須の機能を集約した唯一のデバイスである。

図●iPhoneを大きく紹介する米アップルのトップページ

図●iPhoneを大きく紹介する米アップルのトップページ

 6月29日午後6時の発売開始に向けて、誰よりも早く入手したいアップルファンやマニアは、全米のアップルストアの前で2日前から泊り込んで行列をつくった。その中には購入したiPhoneを、クラシファイドサイト(個人広告掲載サイト)のCraigslistに掲載して、買い手がつくのを待っている者もいるようだ。こうした多くの若者がiPhone発売日の狂想曲に一役買った格好だ。米国では「6.29.07」(2007年6月29日の米国式の表記)と日付で呼ばれるほどの一大イベントとなった。

「6.29.07」への参加はアップル信者の証

 iPhoneは全米164のアップルストアで午後6時から深夜まで発売され、1人2台までの購入が認められた。iPhoneをオークションサイトのeBayやクラスファイドサイトで転売するために購入する人も見られたが、多くはアップル信者ともいうべきマニアによる、「iPhone発売日(イベント)に参加したい」という熱狂から行列が生まれた。

 ニューヨーク五番街のアップルストアで先頭から3番目に並んだDavid Clayman(デビッド・クレイマン)氏は、米NPO(非営利組織)団体「Taproot Foundation」のチャリティー基金として5000ドル(60万円、以下1ドル=120円で計算)を集めるためにiPhoneを購入したという。このように、Cause(社会問題)目的の購入者も現れている。

 行列には、アップルのCo-Founder(共同創設者)、Steve Wozniak(スティーブ・ウォズニアック)氏の姿もあった。若いころ、ジョブズ氏とともによく行ったショッピングモールであるSanta Clara Valley Fair Shopping Centerで、6月29日の午前4時、先頭から4番目で行列に参加したのだ。サンフランシスコ・クロニクル紙のWebサイトによると、彼はもちろん事前の製品入手も可能であったが、iPodの時もそうであったように自身で歴史的なイベントに立ち会って購入することを重要視しているという。今回は「I was there. 6.29.07」(2007年6月29日、私はそこにいた)というTシャツを着て、午後6時の発売開始を待った。


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著者プロフィール

大柴 ひさみ(おおしば・ひさみ)

大柴 ひさみJaM Japan Marketing LLC代表。日米のマーケティング・ビジネスを橋渡し米国シリコンバレーで、日米のマーケティング・ビジネスのファシリテイターとして、戦略の開発実施・調査分析などのコンサルティング・サービスを提供するJaM Japan Marketing LLCの創設者/パートナー。日本の広告代理店の電通ヤングアンドビルカム、米国広告代理店マッキャン・エリクソンを経て、20年間に渡る日米間のビジネス経験を生かして、1998年にJaM Japan Marketingを設立。「Peer to Peer」(P2P)、「WOM」(Word of Mouth)などを活用した最新のマーケティング手法に注目したサービスを提供している。
ブログ「ひさみをめぐる冒険」を執筆中。本ウェブでは以前「米国ネットの“ざわめき”を聴く」を連載した。


このコラムについて

米国ネットの“ざわめき”を聴く

企業は“クチコミ”を自社のマーケティング戦略にどのように活用すべきか。どんな効果やリスクがあるのか。米国在住の筆者がWOM(Word of Mouth:クチコミ)先進国の最新動向を紹介します。

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