筆者は年初に上げた「2007年注目のキーワード」で、今年の米国のマーケティングにおける注目キーワードとして「Green(=エコフレンドリー)」を挙げた。その後、米国における「環境保護への意識の変化」は急速に進行しており、消費者一人ひとりの環境志向の高まりには勢いを感じる。特にこの傾向は若年層にいち早くみられ、調査会社The Intelligence Groupが2006年9月に発表したレポートによると、18-34歳の最大の関心事は「地球温暖化」であるという。同様に調査会社Youthographyが4月18日に発表したプレスリリースは、下記に挙げたように、10代を含めた若年層の環境問題に関する意識の高まりを示唆している。
●9-29歳のおよそ75%は「今後の25年間で環境汚染がもっとひどくなる」と信じている。
●14-29歳の58.7%は「政府は環境保護をもっとすべきである」と回答している。
●「日常生活において最も重要なことは“エコフレンドリー”であること」と、14-29歳の女性では54.5%、男性では46.9%が回答している。
● 一方、9-13歳の女子の68.8%が「日常生活において最も重要なのは、環境保護をすること」と答え、同じ項目を9-13歳の男子の54.7%も選んでいる
こうした環境保護への意識を高める上で大きな役割を果たしたのが、2007年3月のアカデミー賞を受賞したドキュメンタリー映画「不都合な真実」である。アル・ゴア元副大統領が地球温暖化を警告する姿を描いたこの映画は、3月7日現在、米国内で2400万ドル(28億8000万円、1ドル120円で計算)、全世界で4600万ドル(55億2000万円)の興行収入をあげた。米国史上3番目の高収益を上げたドキュメンタリー映画で、2006年のサンダンス映画祭やカンヌ映画祭などで注目を集めた。
ただし、こうした映画としての評価以上に注目すべき点として、制作会社のパラマウントが興行収入の5%、ゴア元副大統領は映画関連で得られる利益のすべてを地球温暖化防止のために寄付することが上げられる。こうした積極的なコミットメントに、今まで環境保護に無関心だった層も含めて、幅広い一般消費者が環境問題に関心を持ち始めた。特に若年層への影響力は大きく、環境問題に関するグラスルーツ(草の根)的な会話が活発に行われるようになった。それは、映画のプロモーションとしての役割も果たし、大きなWOM(クチコミ)を創出していった。ちなみに、映画の題名をYouTubeで検索すると、映画に関する賛否両論の関連動画が1740件上がり、グーグル検索では104万件の記事が上がってくる(4月25日現在)。





JaM Japan Marketing LLC代表。日米のマーケティング・ビジネスを橋渡し米国シリコンバレーで、日米のマーケティング・ビジネスのファシリテイターとして、戦略の開発実施・調査分析などのコンサルティング・サービスを提供する










