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2008年1月21日(月)

佐藤可士和が語る“クリエーティブから見たインターネット”

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●クリエーターの佐藤可士和氏

●クリエーターの佐藤可士和氏

 日本を代表するクリエーターの一人、佐藤可士和氏。テレビCM、プロダクトデザイン、CDジャケット、空間デザインなどのほか、ロゴやサイトのデザインまでを手がける幅広い活躍でよく知られている。これまで手がけたデザインは、楽天のロゴ、キリン「極生」のテレビCMと商品デザイン、SMAPのCDジャケットやNTTドコモの「FOMA N702iD」など、実に多岐に渡る。

 個人事務所のサムライ(東京都港区)でクリエーティブディレクター、グラフィックデザイナーを務める佐藤可士和氏はここ最近のインターネットやケータイの普及、そしてこれらを活用したネットマーケティングをどう見ているのか。話を聞いた。

ケータイはみんなを街に解放した

 消費者の情報に対する質を見分ける力が最近、ものすごく上がっていると思います。特に東京近辺に住む人。東京はやはりすごい街です。世界中のものがこれだけ集まっている都市はありません。表参道でも銀座でも、ちょっと歩けば世界中のいいブランドがたくさんあるわけです。それらはものすごい投資をしてインテリアデザインやビジュアル面の開発をしています。消費者はモノを買わなくても、ウインドウショッピングや雑誌などを通してこうしたデザインに触れられる環境にいるわけです。自然と目が肥えて、質を見極める感性がここ10年ですごく上がっていると思います。

 インターネット、そしてケータイの影響も大きいですよね。インターネット以前は、情報は自分から取りに行かないといけないものでした。情報に対するある種のあこがれみたいなものがあったものですが、それがなくなってきたと思います。情報が“存在している”というイメージでしょうか。パソコンやケータイという入り口がある巨大な倉庫を持っているような状態だと思います。みんな探せばあると思っている。情報やモノがありすぎるからこそ、選択眼が最も問われている時代になっているのだと思います。本当に良いものを見分けられる人とそうじゃない人、情報格差は高まっていると思いますね。

 マス広告はめっきり効かなくなりました。1995〜1996年に博報堂にいたころ、ステップワゴンのテレビCMを担当した時には売れているという実感がありました。ところがその数年後には、マス広告が効かなくなっている印象を受けました。インターネットやケータイの普及で確実に消費者のタッチポイントが増えたためでしょう。ケータイのおかげでみんな街に出るようになったという理由もあるでしょうね。

Webはデザインがしにくい、それが一番の刺激

 Webサイトのデザインは成熟度でいったら、まるっきり低い。インターネットは世に出てきてからまだ10年そこそこなので、仕方がないことだと思いますが。雑誌にはすごく長い歴史があり、そのデザインについては語り尽くせない歴史があります。それに比べて、インターネットはまだ始まったばかり。まだまだ創世記です。

 ただ、すごく可能性を感じるんです。例えば、グーグル。「検索」という仕組みそのものがデザインになっていますよね。最も大事なのは、コンセプトだったり、構造だったりします。仕組みが強いものが強い。今後、仕組みそのものがデザインになっていくと思います。

 自分自身が刺激を受けるのは、「デザインしにくい」点でしょうか。デザインは一つひとつを規定してできていくものなのに、Webサイトは形を規定することができない。そこが面白い。見ている側の人のディスプレイの大きさは違うし、フォントも違うし。最終的に見ている画面においてデザインを規定できない、水のようなもの、でも確実に存在する。この辺りに刺激を受けますね。

 またWebサイトには完成がありません。日々、アップデートしていくものなので、完結しないんです。完成がないのでなかなか達成感を感じられないですが、ストラクチャーができた瞬間、システムが完成した瞬間、動かす箱ができた瞬間に、まず一回、達成感がありますね。ほかの人が作った上でやっても達成感はありません。また、それがすべてだとは思わないですが、アクセス数も多いほうがいいな。テレビだと数字がはっきりせずあいまいです。インターネットは何もかもはっきりしたほうがいい。

 2007年、やっと自分のWebサイトを作ったんです。以前よりWebサイトが身近になりましたね。管理画面があって、そこでカラーバーなど色の管理を自分でやっています。これがすごく面白い!保存して更新すると、一瞬にしてWebサイトが変わるんです。世界中に向けてデザインが一斉に変わる、これはWebサイトならではのダイナミズムでしょう。グラフィックデザインだって建築だって、こんなにすぐにはできないですから。

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著者プロフィール

原 隆(はら・たかし)

日経ビジネス記者。日経BP社入社後は日経パソコンに約7年勤務。その後、日経コミュニケーション、日経ネットマーケティング(現日経デジタルマーケティング)を経て2010年1月よりビジネス編集部に在籍。電機・ITグループ所属、主にインターネット業界担当。趣味は酒と麻雀とピアノ。宮崎県出身、高田馬場在住15年目。「鳥やす」で焼き鳥とビールを飲むのが好き。Twitterアカウントは@haratakashi。飲んだときにしかほとんどつぶやかない

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