「米国ネットの“ざわめき”を聴く」

米国ネットの“ざわめき”を聴く

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2008年3月5日(水)

第20回
オバマ候補の選挙戦に見るソーシャルメディアの役割

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2008年の最初の「YouTube Moment」は、オバマ候補のアイオワ州の勝利スピーチ

 2008年は大統領選挙の年である。普段政治や選挙のことを口にしない人間も含めて、多くの米国人が一種異様なまでの熱狂ぶりで、「大統領候補者に関する会話」をオンライン・オフラインを問わず行っている。この熱狂を作り出した大きな要因の1つは、1月3日のアイオワ州の民主党大統領候補選挙における、バラク・オバマ候補の劇的な勝利だったと言っても過言ではない。

 アイオワ州は、およそ300万人の人口のうち白人が95%を占めている。選挙前の下馬評は、元大統領夫人でありニューヨーク州上院議員としても抜群の知名度と組織力を誇るライバルのヒラリー・クリントン候補の優位で進んでいた。しかし多くの予想を裏切って、白人層の支持を取り付けたオバマ候補が勝利を獲得。マスメディアを含めて米国民に「もしかしたら黒人初の大統領誕生という歴史的な変革が起きるのでは?」という大きな期待を抱かせた。Nielsen BuzzMetricsの分析によると、1月3日のアイオワ州予備選以降にオバマ候補に言及したブログは、急激に増加して、ライバルのクリントン候補やマケイン候補を圧倒的に離して、巨大な「WOM(Word of Mouth:クチコミ)」を創出している。

 勝利宣言のスピーチは、オバマ候補のYouTubeの公式チャンネルによって、即座にアップロードされ、12時間以内に16万人がこのビデオクリップを視聴した。その後多くのオバマ支持者が同じスピーチをYouTubeに投稿した結果、アイオワ州のスピーチを紹介する動画の本数は200を超えた。これらのビューを合計すると2月25日時点で合計200万人以上が視聴したことになる。オバマ候補のYouTubeの公式チャンネルは、2月25日現在で706本のビデオをアップロードして、合計1221万243のビューを獲得している。これに対してクリントン候補の公式チャンネルは273本のビデオで139万2852のビューを得ただけにとどまった。両者の公式チャンネルを見ると、オバマ候補はクリントン候補より10倍近いビューを獲得していることになる。米国人とインターネットの関係を調査研究するPew InternetのアナリストAaron Smith氏は、このオバマのアイオワ州での勝利のスピーチのビデオを「YouTube Moment」と呼んで、4年前の大統領選に比べて、いかにインターネットが政治のランドスケープを変えてしまったかを指摘している

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著者プロフィール

大柴 ひさみ(おおしば・ひさみ)

大柴 ひさみJaM Japan Marketing LLC代表。日米のマーケティング・ビジネスを橋渡し米国シリコンバレーで、日米のマーケティング・ビジネスのファシリテイターとして、戦略の開発実施・調査分析などのコンサルティング・サービスを提供するJaM Japan Marketing LLCの創設者/パートナー。日本の広告代理店の電通ヤングアンドビルカム、米国広告代理店マッキャン・エリクソンを経て、20年間に渡る日米間のビジネス経験を生かして、1998年にJaM Japan Marketingを設立。「Peer to Peer」(P2P)、「WOM」(Word of Mouth)などを活用した最新のマーケティング手法に注目したサービスを提供している。
ブログ「ひさみをめぐる冒険」を執筆中。本ウェブでは以前「米国ネットの“ざわめき”を聴く」を連載した。


このコラムについて

米国ネットの“ざわめき”を聴く

企業は“クチコミ”を自社のマーケティング戦略にどのように活用すべきか。どんな効果やリスクがあるのか。米国在住の筆者がWOM(Word of Mouth:クチコミ)先進国の最新動向を紹介します。

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