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2008年4月24日(木)

第23回:キットカットが、思いをのせて空を飛ぶ

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 4月21日から開始しました。切手を張ってそのまま郵便で送れるキットカット。その名も、「キットメール」。裏には、送り主からのメッセージが書き込めます。

 受験生の間では、お守りとして定着したキットカットですが、よく質問されるのが、受験生だけでなく、もっと広いターゲットにコミュニケーションしないんですか、ということ。当然の話で、クライアント、チームを含めていろいろな施策は実行しましたし、また考えてもいます。それがなかなか多くの人たちを動かしていないのは、強いアイデアに欠けていたのかもしれません。反省です。

 正直な話、ここまで受験のお守りというイメージがつくと、そこから脱却していくのは難しい。しかし、キットカットの「心」を考えてみれば、脱却ではなく広げていく、というスタンスに立ったほうが正しいのかもしれません。

 もともと、受験のストレスから少しの間でも解放してあげる、というのがキットカットの役割(大げさかもしれませんが)。とすれば、受験生に限らず、たくさんの人にとってキットカットが役立つことがあるはずです。ちょっとだけ勇気を持って、自信を持って、自分の願いに近づくために。

 そういう原点に立ち返ったとき、気付いたのがメッセージの力でした。私もそうですが、仕事がうまくいかないとき、落ち込んでいるとき、信頼している人や仲のいい友達から励ましのメッセージをもらうと、下に向いていた心のベクトルが急に上を向く。あるでしょう。反対に、ひとりであれこれ悩んでいると、ますます立ち直りとは逆の方向へと行ってしまう。そんなときの、他人からのひと言。どんな薬より効果は絶大です。

 受験キャンペーンに当てはめてみると、もちろん一番多いのは、本人がお守りとしてキットカットを買うこと。その次が家族や先輩、知人など。「がんばって」と言葉を添えて、受験生にキットカットを贈っていました。私の生徒の中には、気付かれないようにキットカットの中にメッセージを入れて、後輩や友だちに贈っていた子もいたほどです。

 受験におけるキットカット現象は、単なる験(げん)かつぎではなく、受験生を思いやる気持ちの交流を生んでいたのです。ある程度は期待していましたが、うれしく予想外な現象でした。

 これが今回の「キットメール」の原点です。誰かが誰かのことを気にかけて応援する。当たり前のことといえばそうですが、コミュニケーションの欠落した時代では、何より大事なことのように思えます。

 また、携帯電話やパソコンのメールと違って、直筆の手紙は贈る人の気持ちをリアルに温かく伝える。最近、手紙が復活の兆しを見せているのも、当然のことのように思えます。

 私事ですが、最近、小学生の男の子と何度か文通をしたのですが、いちばんドキドキするのが封を開ける瞬間。もちろん、メールでもそうでしょうが、楽しみ度は全然違います。手紙の好きな方はお分かりでしょう、あの感じ。字は決して上手ではなくても、一生懸命書いた様子が伝わってきて、思わずニッコリしてしまいます。一度、ヒエログリフ文字で名前を書いてきてくれたのには感動しました。

 これが、リアルの強さ。突然やってきたメッセージは、間違いなく受け手に刺さるはず。こう考えながら、実験をしてみました。通常のキットカットに、郵便で送れるサイズの厚紙を貼り、そこに、住所、名前、メッセージを書いて投函(とうかん)。無事に東京から北海道、京都から東京と到着。本体もヨレヨレにならずに届き、やはり、受け取ったときのインパクトは、“WOW!”でした。

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著者プロフィール

関橋 英作(せきはし・えいさく)

関橋 英作 マーケティング・コミュニケーション・ユニットMUSB
青森県生まれ。
外資系広告代理店JWTでコピーライターから副社長までを歴任。ハーゲンダッツ、キットカット、デビアス・ダイヤモンド、NOVA英会話学校など、数多くのブランドを担当。その多くを、トップブランドに導き、ギャラクシー賞グランプリをはじめ、NYADC賞、ACC賞など数多く受賞した。特にキットカットにおいては、クリエイティブの斬新さに加え、ビジネスの結果を出さなければ受賞できないAME賞(アジア・マーケティング・イフェクティブ賞)を2年連続グランプリの快挙。アジアマーケットナンバーワンを勝ち得た。また、日本メンタルヘルス協会公認心理カウンセラーを取得。消費者インサイトを深く洞察する。女子美術大学・拓殖大学非常勤講師。


このコラムについて

マーケティング・ゼロ

メール・マーケティングに始まり、アフィリエイト、検索連動型広告、コンテンツ連動型広告、動画広告にRSS広告などなど実に多彩な発展を遂げているネットマーケティング。こうした広告のプラットフォームが次々と登場することは喜ばしい半面、企業は踊らされがちになります。本来、マーケティングとは何だったか?これを忘れそうになったときに皆様を原点に引き戻す、そういうコラムを目指しています。テクノロジーがどれだけ進化したとしても、マーケティングの原点はいつの日も変わらないのですから。

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