このコラムでは「カンバセーショナルマーケティング」というキーワードを使っていますが、これは2007年の春ごろから、米国を中心に新しいマーケティングのコンセプトとして注目されているキーワードです。
「カンバセーショナルマーケティング」は直訳すれば「会話マーケティング」。簡単にまとめてしまうと、企業と顧客の会話をより深めていくことで、企業のマーケティングを効率的に実施しようというコンセプトになります。
マーケティングで顧客との会話を重視するというのは、ごく当たり前のことを言っているようにも見えますが、注目度はとても高まっています。2007年9月に米国でカンバセーショナルマーケティングをテーマに開催されたイベント「CMSummit」では、早期割引でも700ドル近いチケットにもかかわらず完売。米グーグル、米ヤフー、米ユーチューブ、米フェースブックといった有力なオンラインメディア企業や、大手のクライアント企業の関係者が参加しました。(関連記事:「米国で高まるカンバセーショナル・マーケティングの期待」)
いま、なぜ「カンバセーショナルマーケティング」が注目されるのでしょうか?また、このコンセプトは日本においてどのように生かしていけばよいのでしょうか?
まず、具体的な事例の話に入る前に、今回はカンバセーショナルマーケティングというコンセプトに今注目が集まっている理由について、マスマーケティングとの対比の観点から見ていきたいと思います。
マスメディアとソーシャルメディアは全く異なる
一般的に4マスと呼ばれるテレビ、新聞、雑誌、ラジオに対し、インターネットは五つ目のメディアと呼ばれることがあります。ただ、単純にインターネットを5番目の「マス」メディアととらえるのは、実は大きな間違いです。
もちろん、ヤフーが運営する「Yahoo!JAPAN」のトップページのように、非常に大勢の利用者が毎日訪問する場所についてはマスメディア的な効果が見込める部分もあります。しかし、ブログやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の「mixi」、掲示板などの「ソーシャルメディア」と呼ばれる媒体におけるマーケティングにおいては、マスメディアと180度異なったアプローチが必要になることが多々あります。
正しくアプローチするには、これまでのマスメディアと、インターネット上のソーシャルメディアの間にある三つの根本的な違いを理解することが重要です。
【根本的な違いその1】情報量の違い
まず一つ目の違いは、情報量の違いです。マスメディアにおいては、テレビであればNHKと民放を合わせてもせいぜい7チャネル程度、大手新聞も5紙など、選択肢が有限です。インターネット以前の一般的な新入社員であれば、朝は日本経済新聞を読み、夜はワールドビジネスサテライトを見る、など情報を入手するルートというのは、かなり限られていたと思います。
しかし、1995年ころにインターネットが登場してから、ネット上の情報量は急速に増加し続けており、日々大量に新しい情報が生まれています。その結果、インターネットは、利用者側に圧倒的に選択権がある世界となっており、マスマーケティングで行われてきた企業から利用者への一方通行の情報の押しつけが、非常に難しくなってきているのです。
ここから先は「日経ビジネスオンライン」の会員の方(登録は無料)、「日経ビジネス購読者限定サービス」の会員の方のみ、ご利用いただけます。ご登録のうえ、「ログイン」状態にしてご利用ください。登録(無料)やログインの方法は次ページをご覧ください。





NTTにて法人営業やIR活動に従事した後、IT系コンサルティングファームを経て、2002年にアリエル・ネットワークに入社。ソフトウェアの企画や、ブログを活用したマーケティング活動に従事。2006年からは、ブログネットワークのアジャイルメディア・ネットワーク設立時からブロガーの一人として運営に参画し、2007年7月に取締役に就任。ネットマーケティングやネットの最新動向に関する複数の執筆・講演活動も行っている。










